「今日から透析を始めます」と言われたら…最初に使う『短期留置型カテーテル』のお話

腎臓の働きが急激に低下すると、
緊急入院です。
今すぐ透析が必要です。
などと告げられることがあります。
そんなとき、多くの患者さんが初めて目にするのが、首や足の付け根から入れる「短期留置カテーテル」です。
突然首(もしくは足)に太い管を挿入されることになる患者さんは、
腕に針を刺すんじゃないの?
痛いの?
ずっとこのまま?
など、様々な不安や疑問を抱いています。
この記事では、透析を安全に始めるために短期留置カテーテルが必要になる理由や、その役割、使用する期間について、初めて透析を受ける方にもわかりやすくご紹介します。
「今日から透析を始めましょう」と言われたら
透析が必要になる患者さんの中には、急激に腎臓が悪くなってしまったり、体調不良にも関わらず病院に行かずに我慢してしまったりすることで、
緊急入院です。
今すぐ透析を始めましょう。
と言われて、何の準備もしないまま透析が始まってしまう患者さんもいらっしゃいます。
一般的に、血液透析では腕に作る「内シャント」を使用します。
しかし、内シャントは手術をしたその日から使えるわけではなく、十分に育つまで1~2週間ほどかかります。
そのため、透析を急いで始めなければならない場合には、内シャントを作り、その内シャントが育つまで待つということができません。
そこで活躍するのが短期留置カテーテルです。
短期留置カテーテルは、シャントのように『育つまで待つ』必要がなく、カテーテルを入れたらすぐに透析をすることができます。
そのため、内シャントが使えるようになるまでの「橋渡し」として、一時的に使用されます。

短期留置カテーテルとは?
短期留置カテーテルとは、透析を行うために血液を体の外へ取り出し、再び体の中へ戻すための細い管です。
カテーテルは、首もしくは足の付け根に挿入します。下図の〇が付いている部分に挿入される患者さんが多いと思います。

短期留置カテーテルのメリット
- 緊急時にすぐに透析を行うことが出来る
- 透析を始める際、針を刺さないので痛くない
短期留置カテーテルは、緊急時に使用するものなので、基本的に患者さん目線でのメリットはほぼありません。
透析を開始するときに穿刺をしなくて済むということくらいだと思います。
短期留置カテーテルのデメリット
- カテーテルの刺入部から感染する危険
- 感染した場合、重症化しやすい
- 首から入れても足から入れても邪魔
- 保護テープなどが髪の毛にくっつく
- お風呂を制限される
短期留置カテーテルを使用している期間は、患者さん目線ではデメリットが多いと思います。
感染の危険性
短期留置カテーテルは皮膚から体の中へ直接入っているため、細菌が入り込みやすく、感染を起こす危険があります。
さらに、カテーテルの先端は、体内の最も心臓に近い部分に留置されているため、感染を起こすと重症化しやすい特徴があります。
お風呂の制限
短期留置カテーテルが挿入されている間は、入浴はもちろん、シャワー浴も大きく制限されます。
『長期留置カテーテル』であれば、保護フィルムを貼るなどの対策で入浴することも出来ますが、『短期留置カテーテル』では入浴は禁止となります。
ただし、施設によっては、保護フィルムなどによる対策をしっかりすれば、シャワー浴は可としている施設もあるかもしれません。
どうしてもシャワーを浴びたいと感じたら確認してみてください。
とにかく邪魔
短期留置カテーテルは首、もしくは足の付け根から挿入されます。
挿入されている間は、カテーテルが10cmほど飛び出す形になりますので、どこから挿入されるとしても、とても邪魔になります。
多くの場合、カテーテルは2週間から1か月ほどは挿入されたままになり、その状態にストレスを感じている患者さんが多いと感じます。

短期留置カテーテルを挿入された患者さんの声
実際にカテーテルを挿入された患者さんに話を聞くと、
お風呂に入れないのがキツイ
カテーテルを保護するテープが髪の毛にくっついて痛い
着替えるときにカテーテルが引っかかっるから邪魔
と、ネガティブな意見が多い一方で、
針を刺されなくて済むのはありがたい
とポジティブに捉えている患者さんもいらっしゃいました。
カテーテルを入れている間に気を付けること
短期留置カテーテルは、体の外から血管の中まで直接つながっています。
そのため、なによりも、感染を起こさないように管理することがとても大切です。
シャワーは浴びれる?
短期留置カテーテルを入れている間は、シャワーは原則禁止の病院が多いです。
短期留置カテーテルが挿入されているときは、刺入部を濡らさないことが基本です。
ただし、刺入部を濡らさないように気を付けながら、頭を洗う位のことは、許可が出ることもあります。
シャワーについては、絶対に自己判断で行わず、主治医から指示された方法で行うようにしてください。
感染を防ぐために
カテーテルの周りには清潔なドレッシング材が貼られています。
これは、カテーテルの刺入部を細菌などから守るためのものです。
ドレッシング材を自分ではがしたり、刺入部をむやみに触ったりしないことは感染を防ぐうえでとても大切です。
ドレッシング材の部分が痒くなり、無意識に触ってしまう患者さんもたくさんいらっしゃいますが、可能な限り触らないようにしてください。
痒みがひどい場合、看護師さんに相談すれば、ドレッシング材を変えたり、保湿剤を塗ってくれたり、何らかの対応をしてくれることもあります。
また、刺入部に赤み、腫れ、痛み、膿などがみられたり、発熱したりした場合は、感染の可能性があるため、早めに医療スタッフへ相談しましょう。
短期留置カテーテルからの感染は重症化するリスクも高いので、自己管理も疎かにしないようにしてください。
カテーテルを引っ張らない・濡らさない
カテーテルは体にしっかり固定されていますが、強く引っ張ったり、衣服などに引っかけたりすると、カテーテルがずれたり抜けたりする可能性があります。
カテーテルがずれたり抜けたりすることも、感染のリスクに繋がります。
挿入中は非常に邪魔に感じるカテーテルですが、ご自身の身体を守るためにも、「引っ張らない・濡らさない・触りすぎない」ことを意識して、少しだけ慎重に扱ってください。
カテーテルはいつまで使う?
一般的には、短期留置カテーテルは挿入してから2週間前後で一度抜去して、新しいカテーテルと入れ替えることが多いです。
その理由はカテーテルを長く入れていると、感染のリスクが高くなるためです。
ただし、治療の状況によって、交換のタイミングは大きく変わります。
「透析を始めるためにカテーテルを入れたけれど、いつまで入れておくの?」と不安になる患者さんもいらっしゃいます。
カテーテルを外す時期は患者さんの状態やシャントの発達具合によって異なりますが、シャントなどの新たなバスキュラーアクセスが安全に使えるようになれば、カテーテルの役目は終了します。
一か月程度同じカテーテルを挿入している患者さんも珍しくありませんので、もし『カテーテルいつまで入っているんだろう』と感じても、心配しすぎる必要はありません。
カテーテルを抜去するタイミング
一般的には、短期留置カテーテルは、バスキュラーアクセスの手術をして、使用できるようになるまでの橋渡しのようなものです。
そのため、新しいバスキュラーアクセスで透析が出来るようになったら抜去することになるのが一般的です。
その際、新しいバスキュラーアクセスの種類によって、カテーテルを抜去するタイミングが変わってきます。
新しいアクセスが内シャントの場合
新しいアクセスが内シャントの場合、上手くいけば作成してから2週間程度で穿刺が可能になります。
内シャントが順調に発達し、穿刺が出来ればカテーテルを抜去することが出来ます。
新しいアクセスが人工血管の場合
新しいアクセスが人工血管の場合、『手術をした翌日に使える人工血管』と『手術してから2週間後に使用できる人工血管』の2種類があります。
〇『手術をした翌日に使える人工血管』を使用した場合、手術をした翌日にはカテーテルを抜去できる可能性もあります。
〇それに対して、『手術してから2週間後に使用できる人工血管』を使用した場合は、内シャントと同様に、作成してから2週間程度はカテーテルを抜去することが出来ません。
〇『手術をした翌日に使える人工血管』の方が優れているのか?
手術をしてすぐにカテーテルを抜くことが出来るなら、手術してすぐに使える人工血管を使用したい!と感じる方もいらっしゃると思います。
しかし、どんなものにもメリットとデメリットが存在しており、の人工血管にもデメリットは存在しています。
簡単にいうと、長期的な目で見たときに、通常の神子血管よりも詰まりやすいといったデメリットが挙げられます。
それぞれの特徴を主治医としっかり相談し、ご自身の状況に適した人工血管を選択できるようにしてください。
新しいアクセスが動脈表在化の場合
新しいアクセスが動脈表在化の場合も、上手くいけば作成してから2週間程度で穿刺が可能になります。
動脈表在化にうまく穿刺が出来ればカテーテルを抜去することが出来ます。
新しいアクセスが長期留置カテーテルの場合
新しいアクセスが長期留置カテーテルの場合は、手術と同時に短期留置カテーテルは抜去してしまいます。
カテーテルは、透析を始めるための橋渡し
短期留置カテーテルは、透析を急いで始める必要があるときに、透析用の一時的なバスキュラーアクセスとして使用されます。
内シャントがすぐには使えない場合でも、カテーテルを使用することで透析を開始することができます。
そして、内シャントが完成して透析に使用できるようになれば、カテーテルからシャントへ移行します。
つまり、短期留置カテーテルは透析を始めるための「橋渡し」として重要な役割を担っています。
突然、首や足にカテーテルを挿入されたら、不安や怖さでいっぱいになってしまうと思います。また、入浴や日常生活について分からないこともたくさんあると思います。
分からないことや不安なことがあれば、まずは医師や看護師、臨床工学技士などのスタッフに相談してください。
『忙しそうだから』とか『こんなこと聞いていいか分からない』など、遠慮する必要は全くありません。
どんどん質問して、不安を取り除き、素敵な透析ライフをお過ごしください。
























