血液透析ってなにがつらいの?【実際の患者さんの声】

透析の現場で働いていると、患者さんが抱える負担の大きさを痛感します。
「しんどい」「水分制限のストレス」「拘束時間が長い」──。
治療の必要性を理解しながらも、日常生活の中で積み重なるつらさは計り知れません。
今回は、透析患者さんに、何が一番つらいかのを聞いてみました。
実際の患者さんの声を紹介しながら、血液透析のつらさについて、まとめています。
治療時間が長い
今回聞いた中では最も多かったのがこの意見でした。
血液透析は、1回の治療に4時間以上かかります。
その間、ずっとベット上で治療を受け続ける必要があります。
ベッドの上で4時間以上過ごさなくてはいけないことに、苦痛を感じる患者さんは多いようです。
患者さんの声
- やっぱり4時間は退屈。
- ベッドが狭くて硬いから、ずっと寝てると腰が痛くなる。
- 寝られれば良いんだけど、ぐっすり寝られる環境じゃないしねぇ。
- 慣れないよねぇ。
- 本当は3時間にしてほしい。
- なにか良い治療法が発明されないの?
様々な不満を聞かせていただきました。
病院のベッドで4時間治療を受けることについては、多くの患者さんが苦痛を感じているようです。

穿刺
こちらも非常に多いご意見でした。
透析治療は、1回の治療で2か所、針を刺す必要があります。
通常の採血などで使用する針よりも太く、長い針を使用します。
患者さんは毎回その痛みに耐えなければなりません。
また、穿刺は必ず成功するものではありません。
近年はエコーを使用した穿刺が一般的になってきたため、失敗の割合はかなり減りましたが、それでも穿刺の失敗がなくなることはありません。
特に血管が細かったり、深かったりする患者さんは、失敗されることも多くなってしまいます。
患者さんの声
- 痛み止めのテープ効かないんだよ。
- 上手い人が来てくれると良いんだけど、新人さんとかが来るとちょっと嫌よね。
- 痛い人と痛くない人がいる。
- 針を血管の中でぐりぐりやられるの嫌。一回で無理なら抜いて。
- 穿刺さえなければなぁ。
- 誰が針を刺すのか毎回気になる。固定できないの?
穿刺の痛みには個人差があります。
穿刺が気にならないという患者さんもたくさんいましたが、痛みを感じやすい方にとっては、毎回が大きな負担になります。
また、『穿刺の痛みは刺す人によって違う』という意見も多くみられました。
なかなか興味深いご意見だと感じます。

透析中の攣り(こむら返り)
透析中の攣り(こむら返り)は、透析患者さんの多くが経験していると思います。
足の攣りが一般的ではありますが、手先やお腹など、攣る場所は患者さんによって様々です。
その原因も、明確なエビデンスがあるわけではありませんが、主な原因は以下の二つとされています。
- 除水による水分不足
- カルシウムの不足
患者さんの中には、透析のたびに、どこかしらの攣りを訴える患者さんもいらっしゃいます。
『攣りそう』と感じたら、早めにスタッフに伝えてもらい、早めに対応してもらってください。
患者さんがどこかしらをつってしまった場合の主な対応は以下の通りです。
- 除水の停止
- 補液
- カルチコール投与(カルシウムの補充)
- 攣っている部分を温める
患者さんの声
- 毎回攣るのが嫌だよ。
- 増えすぎてるのが悪いんだろうけど、攣らないときもあるからつい増えちゃうんだよね~。そして攣るんだ笑
- お腹を攣るとどうしていいか分からない。
透析をしていると、多くの患者さんが経験する『筋肉の攣り』。
除水量の多い患者さんには特に良くみられる症状です。
患者さんによって対応は様々ですが、『温める』は効果的だと感じています。
『攣り』で悩んでいるなら、電気あんかのようなものを透析施設に常備しておくのも一つの手です。
かゆみ
透析中の『かゆみ』は多くの透析患者さんを悩ませている透析合併症の一つです。
透析中の痒みの原因は、患者さんによって様々です。
そのため、患者さんごとに痒みの原因を見つけ、原因に合わせた対策が必要になります。
主な原因は以下の通りです。
透析患者さんの痒みの原因
- 乾燥肌
- 尿毒素の影響
- カルシウムとリンが高い
- ダイアライザーのアレルギー
- 薬の副作用
- ホルモン異常
患者さんの声
- 薬が全然効かない。
- 掻きむしりたい。
- 何してもおさまらない。
近年は、質の高い薬がどんどん開発されており、かゆみに対する悩みを持っている患者さんが少し減ってきていると感じます。
それでも、透析患者さんにとって、『かゆみ』は避けて通れない悩みの一つです。
痒みの原因は様々なものがあります。
それぞれの原因に対して、正しい治療をしなければ、効果は出ません。
かゆみの原因をしっかり調べて、正しい治療を行うようにしてください。
内シャントの見た目が気になる
透析治療では、『内シャント』などの、バスキュラーアクセスが必要になります。
しかし、透析を続けていくと、内シャントが太くなっていき、外見が気になってしまうという患者さんもいらっしゃいました。
患者さんの声
- 見た目が良くないから、いつも隠すようにしてます。
今回の聞き込みでは、シャントの見た目を気にしていると教えてくれた患者さんは少なかったです。
しかし、実際には、私生活において内シャントを隠している患者さんは多く見受けられます。
シャントカバーを付けている患者さんも多くみられます。
亡くなるときが不安
患者さんの声
- (入院中の)死にそうな患者さんをよく見かける。その人たちはつらそう。縛られたり、叫んだり。最後はラクに逝きたいけどなぁ。
終末期における透析患者さんの治療選択は、非常に難しい問題です。
多くの患者さんは、最期は『苦しみたくない』『ラクに逝きたい』と望んでいます。
それに対して、ご家族は『少しでも長く生きてほしい』という想いを持っていることがあります。
また、現在の日本の病院では、『患者さんからの強い希望がない限り、救命が困難な場合でも治療を継続する』という風習が根強く残っています。
そのため、終末期の患者さんは、どんなにつらくても、本人が望んでいない場合でも、『延命』と呼ばれるような治療を受け続けることになるのです。
病院で透析を受けていると、そんな『つらい延命としての透析患者さん』を見かけることも多く、ご自身の最期について、不安を持つ患者さんもいらっしゃるようです。
堀川恵子さんの『透析を止めた日』は、終末期における透析患者さんの実態が描かれています。
「延命」と「救命」の境界線が曖昧な日本医療のリアルが描いてあって、透析患者さんや医療従事者の方には是非読んでいただきたい一冊です。
仕事との両立がつらい
血液透析は、週3回・4時間以上の拘束が必要になるため、生活に大きく影響する治療です。
通院時間や穿刺、返血操作、止血の時間など、治療以外の時間も考えると、さらに多くの時間の確保が必要です。
透析の大変さを職場の人に分かってもらうことは、想像以上に難しいものです。
患者さんの声
- 仕事が長引いちゃうと、透析の時間が短くなっちゃうよね。
仕事で遅くなってしまい、透析時間が十分に確保できない患者さんもいらっしゃいます。
透析時間の確保は、『健康に生きる時間』のために非常に大切です。
仕事によって透析時間が削られているようなら、透析施設の変更や、仕事内容の相談など、可能な限りの対応策を検討することをお勧めします。
恥ずかしい
実際に透析をしていて恥ずかしいことなど何もないのですが、
『透析をしていること』= 恥ずかしいこと
と感じる患者さんもいらっしゃいます。
もちろんそんなことを感じていない患者さんもたくさんいらっしゃいますが、透析していることを他人に伝えないようにしている方もいらっしゃるようです。
患者さんの声
- あんまり人に言えるようなことじゃないよ。恥ずかしいもの。
現在、日本では30万人以上の透析患者さんがいらっしゃいます。
決して珍しい病気ではありません。
透析に対して正しい知識を持って、恥じることなく透析を受けていただければ、透析に関わるスタッフも救われます。
透析に関する悩みは人それぞれ
血液透析のつらさは、実際に経験しないと伝わりにくいものばかりです。
だからこそ、患者さん自身の声を知ることには大きな意味があります。
患者さん自身が抱えている悩みやつらさは、決して特別でも、わがままでもありません。
どうか自分の体を守る選択を大切にしてください。
それでは、素敵な透析ライフをお過ごし下さい。


















