透析をしないとどうなるの?【実体験】【透析導入を拒否した結果】

「人工透析が必要です」
医師にそういわれても、受け入れることはなかなか難しいと思います。
実際の患者さんの中にも、透析の導入を拒否する方も多くいらっしゃいます。
透析の導入を拒否し続けた結果、患者さんはどうなってしまうのか。
透析を拒否する患者さんの一例と、その結果どうなってしまうのかを解説します。
また、実際に限界まで透析を我慢して、緊急入院になってしまった患者さんに、透析を我慢していて何がつらかったのかを聞いてみました。
その会話も一部まとめています。
絶対に導入しないと強い気持ちを持った患者さん
死ぬときは苦しいんですか?
外来診療で、主治医にそんなことを訪ねる患者さん。
主治医に透析の導入を勧められても、頑なに拒否をし続けます。
「私は治療を希望しません」という、意向確認用紙にもサインをします。
下肢のパンパンとした腫れに加え、血液検査の値も危険な値に達していても、断固として透析を拒否します。
これで最後かもしれませんね。
最後まで「透析はしない」の1点張りで外来診療をあとにします。
限界 → 緊急入院 → 透析
そんな患者さんですが、多くの場合、最後の外来診療から数週間後に病院に電話があります。
限界です。透析します。
すぐに病院に来てもらい、緊急透析を行うことになります。
緊急透析になった時の一般的な流れ
入院時には多くの場合、
- 強い吐き気
- 激しい頭痛
- 呼吸困難
- 足の痛み
などを訴えて来院されます。
このように緊急で透析を行うことになった場合、病院内での流れはこんな感じになります。
- 救急外来で問診
- 〇 強い吐き気
〇 激しい頭痛
〇 息が出来ない
〇 足の痛み
など、症状は様々です。
- 採血とCT検査
- 血液データは当然、腎機能を示す数字が軒並み危険値に。
CTでは、肺に大量の水が溢れていることが確認されます。
- ICUに入室
- 血液透析を行うためにICUへ入室です。
- 人工呼吸器の装着
- 肺に水が溢れてしまって、呼吸がうまく出来ない状態だったので、「人工呼吸器」と呼ばれる機械を装着します。
人工呼吸器の装着は、激しい苦痛を伴う治療行為なので、患者さんには薬で眠ってもらっています。

- 首から透析用のカテーテルを挿入
- 首から内頸静脈という血管に、太さ4mm、長さ15cmほどの管を挿入します。
※写真はバクスター社HPより

- 透析の開始
- カテーテルを使用して緊急透析を開始します。


1か月~2か月程度の入院生活
透析によって、徐々に症状は落ち着いてきます。
しかし、身体が落ち着いたからといって、すぐに退院できるわけではありません。
一般的には、緊急透析で入院した場合、1か月~2か月程度の入院生活を送ることになります。
その期間にすることは以下の通りです。(※【】内の期間は目安です)
【1~2週目】:体調を戻す
- 溜まってしまった水分の除去
- 尿毒素の除去や、電化質の補正
- その他、腎臓以外の検査
【3~5週目】:シャントの作成・待機
- 内シャントなど、バスキュラーアクセス作成の手術
- 手術後、血管が発達するまで2週間程度は待機
【6~7週目】:初穿刺、外来透析のための施設探し
- 初穿刺
- 外来で通う透析施設の調査・面談
透析施設が決まれば無事退院。
透析を我慢してる間、なにがつらかった?【実際の患者さんとの話】
以前、実際に透析導入を拒否し続けて、緊急入院になってしまった患者さんと少し仲良くなったので、色々聞いてみましたことがあります。
拒否し続けてたのに、結局なんで透析することにしたんですか?
本当に限界だったよ。
2か月くらい本当につらかった。
どんな風につらかったんですか?
ずっと気持ち悪いし、頭痛いし、めまいもするし、何度も死ぬかと思った。
しかもコロッと逝けるなら良かったんだけど、全然死ねない。
苦しいのが続くだけ。たまに調子よかったんだけどね。
でも最後の2週間は地獄だった。
ずっと真綿で首を絞められてるような感じ。
本当につらくてつらくて、病院に電話しちゃった。
何が一番つらかったですか?
横になれなかったのがつらかった。
横になると苦しいから、ずっと座って寝てたよ。
疲れてるのに寝れないし、起きてると気持ち悪いし、最悪。
医者の言うとおりでした?
そうでした。
苦しいよって言われてたけど、本当に苦しい。
先生が言ってたのはこのことだったんだなぁって。
これから大変なこともあると思いますけど、頑張ってくださいね。
へい。
透析って何?
透析は、腎機能が低下した際に行われる代替療法です。
腎機能の低下=おしっこが出なくなるということです。
そのため、本来、おしっことして外に出るはずの
- 水分
- 老廃物
- カリウムなどの電解質
が体内にどんどん溜まっていきます。
それを取り除くのが透析治療です。
しっかり計画を立てて透析を導入すれば、入院は1週間程度
外来診療で、医師の提案通りに治療を進めていった場合、うまくいけば透析導入時に必要な入院日数は1週間程度になります。
その場合、透析導入の1か月~半年程度前に、内シャントなどのバスキュラーアクセス作成のための手術が必要になります。
透析をしないとどうなるの?
体に水分が溜まる
本来、おしっことして体外に出るはずだった水分が、体内に溜まっていきます。
体内に水分が溜まると
① 血管内や心臓が水分でパンパンに
心臓の中に血液が溜まると心臓の動きが悪くなります。
② 血管の外に水が溢れてくる
血管内がパンパンになると、血管の外に水が溢れてきます。
肺に水が溢れると呼吸困難となり、足に水が溢れると浮腫みとなって症状に現れます。
体に老廃物(尿毒素)が溜まる
本来、おしっことして体外に出るはずだった老廃物(尿毒素)が、体内に溜まっていきます。
体に老廃物(尿毒素)が溜まると
① 尿毒症
尿毒素が体内に溜まっていくと、『尿毒症』という症状がでます。
- 頭痛
- 吐き気
- 倦怠感
- 精神症状
など、症状は様々です。
カリウムが溜まる
本来、おしっことして体外に出るはずだったカリウムなどの電解質が、体内に溜まっていきます。
体にカリウムが溜まると
① 致死性の不整脈
カリウムは、心臓の動きに重要な役割を担っています。
カリウムが溜まってしまうと、心室細動などの危険な不整脈の原因となります。
透析導入の拒否
透析は、患者さん本人が望まなければ拒否をすることが可能です。
特に、体力のない高齢者や、認知症を持つ患者さんにとっては、透析が大きな負担になってしまうということもあります。
しかし、ただ単に透析を拒否し続けるのは、大変な苦痛を伴います。
そのため、もし本当に透析をしないのであれば、緩和ケアが大切になります。
苦しみをなるべく取り除き、最後を迎えてもらう『リビングウェル』という考え方もあります。
自分や自分の大切な人が腎不全になったとき、本当に納得の出来る最後を迎えられるように、透析を拒否し続けるとどうなるかということを知っておくことはとても大切なことだと思います。
今回の記事が、透析導入に悩んでいる患者さんの一助となれば幸いです。

















