透析が終わって帰ろうと立ち上がった瞬間、ふらっときたことありませんか?

足をつって、思わず立ち上がり、そのまま意識を失ったことはありますか?

それは「起立性低血圧」という症状かもしれません。

今回は、糖尿病をお持ちの透析患者さんに特に多い、「起立性低血圧」について、まとめました。

起立性低血圧ってなに?

起立性低血圧とは、その字の通りの症状です。

起立性低血圧=起立した時に血圧が下がる症状

立ち眩みやめまいと似たようなものです。

この症状は、透析患者さんにはよく見られる症状で、特に糖尿病をお持ちの患者さんに多いとされています。

この症状の怖いところは、ベッドで横になっているときには、めまいなどの自覚症状がないところです。

起立した時に急激に血圧が下がるため、対応に難渋することが良くあります。

以下のようなやりとりは、透析室でよく見る光景です。

私は大丈夫!さぁ帰るぞ!!

もう少し休んだ方が良いのでは…

いいや!大丈夫!!

…おぉ…

ほらぁ…

起立性低血圧はどうしておこる?

簡単に説明すると、立ち上がると重力で血液が下半身に溜まるので、脳に血液がたりなくなるのが起立性低血圧です。

透析中(ベッドに横になっている状態)
透析中の血圧低下がなければ、重力の影響を受けることなく、血液を全身に送ることが出来ている。
透析終了(立ち上がった状態)
重力で血液が下半身に溜まってしまう。
その結果、心臓に戻る血液が減って、一時的に血圧が下がる。
起立性低血圧となる
脳に届く酸素の量が減り、目の前が真っ暗になる。

起立時の本来の生体反応

本来であれば、起立して脳が「血液足りない!」と判断した時に、心臓と血管に指令を出して、血圧を上げようとします。

この反応は、「自律神経」と呼ばれる神経の働きによるものです。

血圧の調整をする神経には「交感神経」と「副交感神経」が存在し、この2つの神経の切り替えを行うのが「自律神経」です。

交感神経副交感神経
血圧上げる下げる

起立性低血圧のある患者さん

糖尿病の患者さんや、透析歴が長い患者さんでは、上述した血圧を上げたり下げたりする自律神経の反応が鈍くなってしまっていると言われています。

そのため、起立して脳が「血液が足りない!」と判断して、心臓と血管に指令を出すのが遅くなります。

その結果、下半身に血液が溜まって血圧が下がり、めまいが起こるという結果になります。

身体の動きに身体の反応が追い付かなくなってしまうということです。

起立性低血圧への対応

起立性低血圧に対しては、以下のような対応をとります。

起立性低血圧に対する対応

  1. 少しずつ身体を起こしていく
  2. 足踏み
  3. リズミックⓇやドプスⓇの内服
  4. (弾性ストッキング)

①少しずつ身体を起こしていく

起立性低血圧の症状は「急に立ち上がると体が対応できない」というものです。

そのため、「ゆっくり立ち上がって体が対応してくれるのを待つ」という対応をします。

最も安全で、一般的な方法です。

例)

少し面倒に感じるかもしれませんが、安全のために、一緒に気を付けて対応していきましょう。

②足踏み

ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれています。

ふくらはぎの筋肉をたくさん動かすことで、下半身の血圧が心臓に戻り、血圧の安定につながると言われています。

ベットに座ったままでも構いませんので、帰る前にパタパタと動かすだけでも効果があるようです。

③リズミックⓇやドプスⓇの内服

起立性低血圧に対して日本で適応となっている内服薬は、リズミックⓇとドプスⓇの2種類です。

この薬はともに「低血圧を予防する薬」です。

作用機序など、細かい部分は複雑になるので、この記事では割愛します。

主に作用時間に大きな違いがあります。

そのため、使い分けとしては、

という使い方が多くなります。

焦らないことが一番の対策

起立性低血圧は、身体の動作に身体の反応が追い付いてきていないことが原因の症状です。

そのため、透析終了後は、焦らずに体の反応を待ちながら起き上がることが大切です。

起立性低血圧が起きているときは、脳に血液が届いていない状態になります。

起立性低血圧が続くと、脳にダメージが蓄積され、寿命に影響するという研究結果も発表されています。

起立性低血圧がある患者さんは、ご自身の身体のためにも、焦らず、ゆっくり体を整えて、気を付けて家に帰るようにしてくださいね。

それでは素敵な透析ライフをお過ごしください。

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佐藤さん
病院に勤めて15年。 様々な患者や医師、看護師などの医療関係者と関わってきました。 透析の話を中心に、病気の話、患者の話、スタッフの話、病院内での様々な話を投稿したいと思っています。