透析条件:ダイアライザーとは?

透析患者さんによって、透析をするときの条件は千差万別です。
患者さんそれぞれの個人差、条件を決める医師の好みによっても全く違う透析条件になります。
そんな透析条件の中でも、今回はダイアライザーについてまとめてみました。
ダイアライザーってなに?
まず、透析は、腎臓が本来行う仕事を手伝う治療です。
腎臓の仕事はおしっこをつくることです。
透析が手伝う腎臓の仕事とは、以下の2つです。
透析の仕事
- 体内の余った水分を捨てる(除水)
- 体内に溜まった毒素(ゴミのようなもの)を捨てる
つまり、身体にとって余計なものを捨てるのが透析の基本的な仕事になります。
この腎臓の代わりを実際にしてくれているのが、ダイアライザーと呼ばれるものです。

ダイアライザーの構造や原理などは、話がややこしくなるので割愛します。

ダイアライザーの種類
ダイアライザーは様々なメーカーが製造・販売しており、メーカーごとに様々な素材で作られています。
ダイアライザーの素材には以下のようなものがあります。
ダイアライザーの素材
- ポリスルホン(PS)膜
- ポリエーテルスルホン(PES)膜
- ポリメチルメタクリレート(PMMA)膜
- エチレンビニルアルコール共重合体(EVAL)膜
- etc…
ダイアライザーの種類による差
インターネットでダイアライザーについて調べてみると、抗血栓性だったり、抗酸化作用だったり、それぞれの膜が様々な特徴を持っているように書かれていると思います。
しかし、ダイアライザーの種類によって大きな違いはありません。あくまで私の認識ですが、ダイアライザー同士の能力を比較しても、少なくとも患者さんやご家族が気にするような差はないと感じます。
いろいろな論文や学会発表を見ても、細かな違いはあるものの、長期的な健康状態や健康寿命に大きな差が出るという報告は見当たりません。
そのため、ダイアライザーには多くの種類がありますが、すべてが病院にそろっているわけではありません。実際には、主に価格と医師か臨床工学技士の好みによって、2~3種類が常備されています。
ダイアライザーの種類によるアレルギー反応
ダイアライザーは種類によってその能力に大きな差はありませんが、患者さんによって相性の違いが出ることがあります。
頻度は高くありませんが、ダイアライザーが原因となるアレルギー反応が起こりうることは、以前から確認されています。
その症状は、血圧低下、呼吸困難、吐き気、かゆみ、発熱など、重い症状のものから軽い症状のものまで様々です。
このような症状が出た場合は透析条件を調整しますが、まず最初に見直されるのは「抗凝固薬」です。それでも症状が続く場合は、次の対応としてダイアライザーの変更を検討します。

ダイアライザーのサイズ
種類ごとの能力差はそれほど大きくありませんが、ダイアライザーの大きさは将来の健康状態に関わる可能性があるとされています。
ちなみに、ダイアライザーの大きさは、中空糸の膜面積(㎡)で表現されます。
中空糸は、ダイアライザーの中に敷き詰められているストロー上の糸のことなのですが、この糸に触れる部分で、血液の毒素の廃棄が行われます。
少し難しく書いてしまいましたが、ダイアライザーが大きければ大きいほど、血液をきれいにしてくれるということです。そして、血液がきれいになると、健康寿命が延びる可能性があるということになります。

膜面積の種類
ダイアライザーの膜面積は一般的には1.0㎡~2.5㎡程度のものが使用されます。
ちなみに、サイズ感をAIに聞いてみました。
1.0㎡=畳の半分くらい
2.5㎡=畳1枚半くらい
のようです。
このなかで、日本透析医学会の発行している「わが国の慢性透析療法の現況 2009年12月31日現在」の中で、膜面積については
膜面積が2.0~2.2㎡を使用している患者さんが最も長生きしていた
というデータを出しています。
もちろん、このようなデータは様々な要因が絡んでいます。たとえば、もともと元気な人が2.0~2.2㎡のダイアライザーを使用する傾向があった場合などは、当然この膜面積を使用していた患者さんが長生きします。
そのため、医療の現場における研究結果は信じすぎることも危険ですが、膜面積を大きくすると、毒素がたくさん抜けることは確かです。透析医学会でも、膜面積を可能な限り大きくすることを推奨しています。
ちなみに、膜面積はダイアライザーの表面に記載されています。下図を参照してください。
下図の例は、共に膜面積が2.1㎡のダイアライザーです。

ダイアライザーを大きくすることのデメリット
ダイアライザーを大きくすることで、健康寿命が延びる可能性があります。
しかし、ダイアライザーを大きくすることで多少なり身体に影響が出る場合もあります。
ダイアライザーを大きくすると、ダイアライザーの中に入る血液の量が多くなります。
すると、治療中に体の外に出る血液が多くなるため、血圧が下がりやすくなる方もいらっしゃいます。
つまり、体格や体力的に、大きなダイアライザーが適さない患者さんもいます。そのため、ダイアライザーのサイズアップは慎重に行われます。
ちなみに、ダイアライザー内に入る血液の量は、
膜面積1.0㎡=約50ml~60ml
膜面積2.5㎡=約140ml~150ml
程度です。ただし、メーカーや膜素材によって差が出ます。
つまり、膜面積の小さいダイアライザーと大きいダイアライザーでは、内部に入る血液量が約100mlほど違います。
100mlだとそこまで影響が出ないような気もしますよね。
実際に膜面積を大きくしたからと言って、血圧が急激に下がってしまうといった事例は決して多くありません。しかし、体力の低下した患者さんなどでは膜面積が血圧低下の要因になることもあります。そのため、むやみに膜面積を上げていいものではないということだけご理解いただければと思います。
ダイアライザーはなるべく大きく
現在、ダイアライザーは大きい方が、健康へのメリットは大きいようです。
膜面積の調整は最終的に医師が判断します。
しかし、患者さん自身がダイアライザー変更の利点や注意点を知っておくことで、提案を受けた際に、より前向きで実りある話し合いができると思います。
現在の医療は患者さん中心に行われていて、患者さんと協力して治療を進める必要があります。患者さん自身も、正しい知識をもって、一緒に健康な生活を作っていきましょう。
それでは素敵な透析ライフをお過ごしください。

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