透析条件:ドライウェイトとは?

透析患者さんによって、透析をするときの条件は千差万別です。
患者さんそれぞれの個人差、条件を決める医師の好みによっても全く違う透析条件になります。
そんな透析条件の中でも、今回はドライウェイトについてまとめてみました。
なるべく簡素に伝えたいと思っていますので、ベテラン患者さんには少し物足りない内容かもしれませんが、ご理解ください。
ドライウェイトってなに?
そもそもドライウェイトとは何か。
透析患者さんのおしっこがまだ出ていたと仮定したときの体重を医者が予測した体重です。
透析をしている患者さんは、おしっこが出なくなる腎不全という病気です。
腎不全になると、本来おしっことして外に出るはずだった余計な水分が血液の中に溜まっていきます。
そのため、血液が薄くなり、血液の量が増えます。薄めすぎたカルピスのようなイメージです。薄くすればするほど、量は増えるがカルピス本来の役割を果たせなくなります。
ちなみにカルピスが薄くなってしまうと美味しくないですが、血液が薄くなってしまうと、「貧血」という状態になります。
そのため、透析をして余分な水を捨てないと、余った水のせいで体重はどんどん増えていき、さらに血液が薄くなって貧血状態も進行していきます。
それでは、透析の時にどれくらいの量の水を捨てれば良いのか。
その捨てる水の量を決めるための目標の体重が、ドライウェイトです。
ではドライウェイトの設定が高かったり低かったりすると、どのような影響が出るのでしょうか。
※ドライウェイトは体重なので、「重い」「軽い」の表現が正しいのかもしれませんが、一般的に「高い」「低い」が使用されるので、ここでは「高い」「低い」を使用します。

ドライウェイトが間違っていると…
もしドライウェイトの設定が間違っていた場合、身体にはどのような影響が出るのでしょうか。
血圧
★ ドライウェイトが高く設定されていると、基本的には血圧が上がります。
★ ドライウェイトが低く設定されていると、基本的には血圧が下がります。
ドライウェイトによってなぜ血圧が変化するのかですが、血圧は、主に以下の要因で決まります。
血圧=心臓が血液を押し出す力×血液の量×血管の細さ
です。この3つの要素がそれぞれ高くなると、血圧も高くなります。
つまり、
ドライウェイトが高い→水分が余ってる→血液の量が多い→血圧が上がる
ということになります。
逆に、
ドライウェイトが低い→水分が足りない→血液の量が少ない→血圧が下がる
ということになります。
表にまとめるとこんな感じです。
| ドライウェイトの設定 | 血液の量 | 血圧 |
| 本来の体重より高い場合 | 薄いが量は多い | 基本的には高くなる |
| 本来の体重より低い場合 | 量が少なく、濃い | 基本的には低くなる |
ただし、血圧は他にも様々な要因で決定されるので、あくまで「基本的には」です。例外も、多々あります。
その他
★ ドライウェイトが高く設定されている場合(身体の水分が多い場合)
- 高血圧による頭痛
- 貧血
- むくみ(浮腫)
- なにより心臓に負担がかかる
★ ドライウェイトが低く設定されている場合(身体の水分が少ない場合)
- 血圧低下によるシャント閉塞
- 脳や心臓に血が届かないため、失神や立ち眩み
- 下肢や脇腹の攣り
- 気分不快
他にも様々な症状が起こりますが、主にこのような症状が出ます。

正確なドライウェイトは存在しない?
ドライウェイトは、さまざまな検査結果をもとにして決められます。
可能であれば、検査値ができるだけ正常範囲に近づくように調整します。しかし、実際には、その「正常」とされる値が本当にその患者さんにとって正常なのかどうかは不明です。
しかし、だからといってドライウェイトを設定しないわけにはいきません。そこで医師が患者さんの自覚症状なども含めて、なるべく日常生活で問題のなさそうな値を予測していくのがドライウェイトです。
つまり、今現在設定されているドライウェイトは、必ずしもその人にとって最適な値とは限りません。そもそも体重なんか、1週間もあれば500g~1kgくらいは上下しますしね。
そのため、ドライウェイトは毎回必ず厳密に守らなければいけない!ということはありません。気分が悪かったり、血圧が下がったりしてしまったら、遠慮なくお残ししましょう。
設定したドライウェイトには多少の誤差がありますし、人間はその多少の誤差くらいなら、対応できる身体になっています。
とはいえ、お医者さんが医学的に様々な検査結果を診て決めた値なので、そこまで大幅にずれていることはあり得ません。体調に問題がないのであれば、ドライウェイトまでしっかり除水することをお勧めします。

ドライウェイトの決め方
次に、医師が何を見てドライウェイトを決定しているのかを解説します。
血圧
「ドライウェイトが間違っている場合」でも書きましたが、血圧は分かりやすく、簡単で正確にドライウェイトを反映している値です。
★ 血圧が高い場合、ドライウェイトは下げます。
★ 血圧が低い場合、ドライウェイトは上げます。
上述もしましたが、血圧を決める要因は以下です。
血圧=心臓が血液を押し出す力×血液の量×血管の細さ
つまり、
血圧が高い→血液の量が多い→水分が余ってる→水を捨てたい→ドライウェイトを下げる
となります。
逆に、
血圧が低い→血液の量が少ない→水分が足りない→水を捨てたくない→ドライウェイトを上げる
ということになります。
表にまとめるとこんな感じです。
| 血圧 | 血液の量 | ドライウェイト |
| 高い場合 | 薄いが量は多い | 下げる方向 |
| 低い場合 | 量が少なく、濃い | 上げる方向 |
透析患者さんの適正な血圧については詳しくは分かっていませんが、
透析医学会のガイドラインでは、140/90mmHg未満を目標とするべきだと書いてあります。
心臓の大きさ
透析をしていると、透析後にレントゲンを撮ることがあると思います。
そこでは心臓の大きさを測定しています。「心胸比」なんて呼ばれますね。
心臓は水風船のようなもので、心臓の中に水分が入れば入るほど、心臓自体は大きくなります。つまり、
体内の血液の量が多くなると、心臓が大きくなります。
逆に体内の血液の量が少なくなると、心臓は小さくなります。
そのため、
★ 心臓が大きい(心胸比が大きい)場合、ドライウェイトを下げます
★ 心臓が小さい(心胸比が小さい)場合、ドライウェイトを上げます
ということになります。
表にまとめるとこんな感じです。
| 心臓の大きさ(心胸比) | 心臓の中の状態 | ドライウェイト |
| 大きい | 血液でパンパン | 下げる方向 |
| 小さい | 血液がなくてスカスカ | 上げる方向 |
ちなみに、透析患者さんの心胸比は
男性:55%以下
女性:50%以下
を目標に設定されます。

hANP, BNP
hANP(ハンプ)やBNPは、採血で測定されるホルモンの値です。
hANPもBNPも、ともに心臓に負担がかかっているときに出てくるホルモンです。
心臓に負担がかかっているときとは、心臓の中に血液がパンパンに入っているときです。
つまり、
体内の血液の量が多くなると、hANPやBNPは高くなります。
逆に体内の血液の量が少なくなると、hANPやBNPは低くなります。
そのため、
★ hANPやBNPが高い場合、ドライウェイトを下げます
★ hANPやBNPが低い場合、ドライウェイトを上げます
表にまとめるとこんな感じです。
| hANP , BNP | 心臓の状態 | ドライウェイト |
| 高い | パンパンで負担が大きい | 下げる方向 |
| 低い | スカスカで負担はないけど血液足りてない | 上げる方向 |
hANPに関しては、
40~60pg/mlを目標値として、100pg/mlで高値、25pg/mlで低値の目安となります。
BNPに関しては、
透析患者さんの場合、高めに出るので、一般的な基準値というものはありません。月の初めの週など、毎回決まった時期に採血をして、その経時変化を見ながら、値が高いか低いかを判断します。
この採血結果の正常値については覚える必要は全くないので、読み飛ばしてください。
hANPとBNPはどちらの項目を使用しているかは、担当医の好みによって変わるので、興味があれば施設で確認してみてください。

ドライウェイトは“今の自分”を知るヒント
透析におけるドライウェイトの設定は、単なる数字合わせではなく、自分の体と向き合う大切なプロセスです。体調や生活スタイルの変化に応じて見直すことで、より快適な透析につながります。
「なんとなく決まってるから…」ではなく、「今の自分に合っているか?」を意識することが、安心と納得につながります。医師やスタッフとコミュニケーションをたくさんとって、満足のいくドライウェイトを見つけてください。
それでは素敵な透析ライフをお過ごしください。

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