透析は、200ml~300ml程度の血液を身体の外に出して、ダイアライザーという筒を通して、血液を綺麗にしたり、血液から水分を抜いたりする、文字にするとなかなか特殊な治療です。

慣れてくると当たり前に感じてくるかもしれませんが、これから透析を始める患者さんや、まだ透析を導入したばかりの患者さんからすると、不安なこともたくさんあると思います。

今回は、透析中によく起こる血圧のトラブルとその対処方法についてまとめました。

なるべく平素な言葉遣いにしたつもりですが、少し医学的な内容になっており、読みづらい部分もあるかと思います。ご容赦ください。

血圧が下がる

透析中に起こるトラブルで一般的なものは、「血圧低下」です。

血圧が下がる原因は、いくつかあるのですが、透析中の血圧低下の原因は90%以上が「脱水」です。

透析には、体内の余計な水分を抜く「除水」という処置があります。この除水によって血圧低下が引き起こされます。

まず血圧とは何かをざっくり説明すると、心臓から送り出された血液が血管にかける圧力です。血液の量が多ければ、血管はパンパンになり、血管にはたくさん圧力がかかります。逆に血液の量が少ないと、血管はスカスカになり、血管にかかる圧力は小さくなります。

血管にかかる圧力が小さい(血圧が低い)と、各臓器に血液がうまく行き届かなくなるため、気分が悪くなったりめまいが起きたりします。

そのため、除水をして血液の量が少なくなると、血圧が下がって気分が悪くなります

厳密には心臓の出力が足りないとか、血管が細くならないなどの要素もあるのですが、透析中においては、血液量が足りないというのはほぼ間違いありません。

対応

透析中に血圧が下がった時には、主に以下のような対応をします。

  • 除水を止める
  • 補液
  • 足を上げる
  • 透析液の温度を下げる(寒くする)

まずは脱水状態の改善をします。

血圧が下がった時の最初の対応は、除水をやめて、必要であれば補液をします。一番簡単で効果的なので、多くの場合はこの2つの対応をとります。

その他には足を上げるという対応も多いと思います。足を上げると、足の血液が足以外の部分(心臓や脳、他の臓器)に集まるので足以外の血圧は上がります

そのほかには、心臓の出力を上げたり、血管を細くすることで少ない血液量でも血圧を維持できる薬剤を使用することもあります。

また、透析液の温度を下げると、寒くなって血管が細くなり、血圧が上がります。冬に血圧が上がりやすいのと同じですね。

上述した対応の中で、以下の2つは注意が必要です。

  • 足を上げる
  • 透析液の温度を下げる(寒くする)

まず足を上げることによって、足側には血液が足りなくなります。それによって、足の攣りが起きてしまったり、不自然な姿勢になるので腰に負担がかかる患者さんもいらっしゃいます。

次に透析液温を下げる対応ですが、単純に寒くなってつらいという患者さんをよく見かけます。また、血管が細くなり、足の先など、身体の末端に血液が届かないことで、足の攣りなどを引き起こしたり、肩こりなどの症状も出ます。

私個人の意見としては、わざわざ寒くして大変な思いをして血圧を上げるくらいなら、同じような効果のある薬を使用したほうが、患者さんが感じる透析中の不快な気分を減らせるんじゃないかなぁと思っています。

血圧の低下は透析中には頻発するトラブルなので、スタッフもすぐに対応してくれると思います。ただ、足を上げたり、透析液温を下げるような対応は、患者さんによってはつらい症状が出ることもあるので、そのような場合は遠慮せずにスタッフに伝えてあげるようにしてください。

血圧が上がる

透析中に血圧が上がる患者さんもいらっしゃいます。

非透析日には血圧は正常な値なのに、透析をすると血圧が上がってしまうのです。

原因は良く分かっていませんが、一般的には以下のようなことが原因ではないかとされています。

  • 血圧を上げるホルモンの分泌
  • 血圧を下げる薬が透析で除去される
  • 交感神経が活性化する

とされていますが、つまりその時になぜ血圧が高いのか、その原因は良く分からないということです

ホルモンとが神経とかの話になってくると、目に見えないところなので対応が難しくなります。

対応

透析中に血圧が上がってしまった時は以下のような対応をします。

  • 頭を上げる
  • ベットの端に足を下ろして座らせる(端座位)
  • 除水速度を上げる

基本的には、血液を足側へ落とすような体位にします。まずは頭を上げて対応し、それでも血圧が高いようなら足を下ろして普通に座ってもらうような体位をとります。

血圧が高いということは、血管にかかる圧力が高いということです。心臓や脳などの大切な臓器にかかる血管に高い圧力がかかってしまうと、その臓器から出血したり、臓器の血管が詰まってしまったり、様々な悪影響を及ぼします。そのため、まずは血液を足のほうに落として、大切な臓器を守ります。

また、除水速度をあげて、一気に血液の量を減らし、血圧を下げようと試みることもあります。いい感じに血圧が下がることもありますが、血圧がびくともしない強者の患者さんもいらっしゃいます。

もちろん血圧を下げる薬を使用しても良いと思いますが、透析は一般的には血圧が下がる治療です。血圧が下がる治療をしている最中に、血圧が下がる薬を投与するのはリスクがあるため、あまり好んで使用はされません。

透析中の血圧管理は協力して

透析中の血圧変動は、透析のトラブルの中では代表的なもので、その対応も一般化しています。

しかし、血圧の変動によって起こる自覚症状が、患者さんによって結構違うため、どれくらいの血圧でどのくらいの対応をするべきかどうかというのが判断できないときがあります。

特に、導入したばかりの患者さんや、入院患者さんなどで普段の透析の様子を見ていない患者さんの時はなおさらです。

血圧が上がったり下がったりすることが多い場合には、どのような対応方法があるのかと、そのメリットとデメリットを患者さん自身も把握していただけると助かります。

そしてその中からどのような対応をしてほしいのかをスタッフに伝えてもらい、一緒に相談しながら対応を考えていければお互いにとってプラスになります。

お互いに協力して、少しでも快適な透析時間を過ごせればと思います。

お話が出来ないくらいに血圧が下がってしまったり、血圧が200を超えてしまうような場合には、スタッフ側から半強制的に対応を取らせていただくこともあると思いますが、その際はご容赦ください。

それでは、素敵な透析ライフをお過ごしください。

ABOUT ME
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佐藤さん
病院に勤めて15年。 様々な患者や医師、看護師などの医療関係者と関わってきました。 透析の話を中心に、病気の話、患者の話、スタッフの話、病院内での様々な話を投稿したいと思っています。
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