透析生活を支える「ちょうどよい血圧」とは?

透析中の皆様は、普段血圧はどれくらいで管理されているでしょうか。
透析患者さんの血圧ってどれくらいがちょうど良いのでしょうか。
たまに「血圧ってどれくらいが良いのか良く分からん」とおっしゃっている患者さんもいらっしゃいます。でも血圧は必ず測りますもんね。
今回は、透析生活を支える「ちょうど良い血圧」ってどれくらいなのかをまとめてみました。
血圧目標値の根拠は不十分
実は、血圧の管理については、2011年に透析医学会がガイドライン内で「目標となる血圧値を明記するにはエビデンスが不足している」1という旨を書いてから更新されていないのです。
一応、そのガイドラインに「一般的には,週初めの透析前血圧値として 140/90 mmHg 未満を目標とすべき」という解説も載っており、そのあたりを指標にして血圧をコントロールしようとしている医者が多いと思います。
透析患者さんの「ちょうど良い血圧」の根拠が不十分な理由はいくつかあるのですが、要は透析患者さんと一口に言っても様々な病態の患者さんがいるから、全ての透析患者さんに該当する条件で研究がなかなか難しいようです。
実際患者さんとお話ししていると、患者さん自身が感じる
これくらいの血圧がちょうど良いんだよ~
という血圧の値は、患者さんによって結構バラバラだったりします。

血圧が高いときのリスク
しかし、だからといって、血圧を気にしなくて良いわけではありません。
血圧はとても大事です。
「ちょうど良い血圧」の根拠は不十分でも、極端な高血圧はリスクが高いという点については、しっかりと科学的な根拠があります。
論文によって多少差はありますが、血圧が160mmHgを超えた状態が長く続くと、健康で過ごせる時間が減ってしまうという知見が多いです。上述した透析医学会のガイドラインにもこのような記載があります。
高血圧のリスクなんかは良く分かってる方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、
- 脳卒中
- 心不全
- 大動脈解離
- 眼底出血
などがあります。
血管に圧力がかかりすぎて出血してしまう病気が多いです。
透析患者さんは、透析中に抗凝固薬という血をサラサラにするお薬を使っているので、透析をしていない人よりも出血のリスクは高くなります。

血圧が低いときのリスク
低血圧に関しても当然リスクが伴います。
ここで色々な数字を出したくないのでざっくりになりますが、「透析中に血圧が90mmHg未満にならないようする」という知見が多いようです。
低血圧の場合は、自宅での血圧が低い人の他に、自宅での血圧が高くても透析中に急激に血圧が下がる人、透析後に立ち上がると血圧が急激に下がってしまう人もいます。
そのような、透析中や透析後に血圧が急激に下がってしまう人は特に注意が必要です。血圧が下がりそうなら無理せず除水を止めたり、ゆっくりと段階的に立ち上がったり、無理をして急激に血圧が変動してしまうような透析方法は避けていただければと思います。
低血圧のリスクには
- 脳梗塞
- 狭心症
- シャント閉塞
などがあります。
しかし、そんなリスクの前に血圧が下がると気持ち悪くてしんどくなりますよね。
そんなしんどい思いをしてまで透析頑張らないでください。除水のし過ぎが原因なら是非お残しして少しでも元気にご帰宅ください。

おうちで血圧測ってますか?
皆さんは自宅でも血圧は測っているでしょうか。
自宅の血圧測定の習慣は、透析施設の担当医にもよると思います。
回診の時には何もなくても必ず血圧手帳を見てくれる医師もいれば、血圧手帳を全く見てくれない医師もいます。回診で血圧手帳を見てくれないと、自宅で血圧を測る気持ちが失せてしまいますよね。
しかし、透析室や病院では緊張して血圧が変動してしまうなど、透析中に同じ条件で血圧を測定するのは難しいため、上述したガイドラインにおいても、「透析患者の血圧は、家庭での血圧を含めて評価するべき」ということになっています。
そのため、自宅で血圧を測ってくれてる患者さんに対しては、しっかり自宅の血圧見てあげてほしいなぁと思っています。
もちろん多くの医師が、血圧手帳をみて回診してくれていますが、非常勤の医者や無気力な医者の中には、しっかり診てくれていないような医者もいるように感じるので。

血圧は大事だけど
最後は素直に私が思うことを書きます。あくまで私の意見なので、人によっては違う意見も出るかと思いますが、ご容赦ください。
上述した通り、健康な透析生活を送るうえで血圧はとても大事なものです。しかし、血圧の値に振り回されないようにすることも大事だと思います。
私は「ちょうど良い血圧」とは、
- 自分の調子が安定する血圧
- 身体がラクに過ごせる血圧
- つらさが出にくい範囲の血圧
だと思っています。自分の体調は自分にしか分からないので、自分が一番過ごしやすい血圧を見つけるのが一番大事じゃないかなと思っています。もし、その血圧があまりにも高過ぎたり低すぎたりしてしまったら、医者やスタッフに相談してみてください。どこまでが許容範囲かというようなお話をしてもらえると思います。
血圧が高いのは恐いから、少し気持ち悪いけど、血圧低めで管理してほしい
という患者さんがたまにいますが、ぜひ血圧に振り回されないでほしいです。血圧が高くても低くても結局リスクは伴います。
具合が悪かったらそれは「ちょうど良い血圧」ではないと思うので、私生活で無理が出るような管理はしない方が健康的な透析ライフが送れると思います。
また、「ちょうど良い血圧」にするために、無理に塩分制限とか水分制限をして、つらい思いをするのは本末転倒だと思ってしまいます。※たまーには暴飲暴食することも大事ですが、本当にたまーににしてくださいね。
「ちょうど良い血圧」を目指して患者さんがするべきことは、自宅でも毎日血圧を測ることです。
血圧の調整は透析の担当医がやってくれる(はず)ので、正確な血圧の情報をお渡しして、あとは先生がしっかり私の血圧を管理してくださいね、というスタンスで良いと思います。
医者が回診であまり血圧みてくれないなと感じたら、
これくらいの血圧だと体調が良いんですけど
薬は今の量でちょうど良いですかね?
とか聞いてみてください。管理は医師にやってもらうとはいえ、結局は自分の身体のことなので、コミュニケーションはしっかりとって、自分の状態を医者に伝えていくのが大切です。
それでは、素敵な透析ライフをお過ごしください。

- 日本透析医学会 血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン 44:337〜425,2011 ↩︎
これはCTAサンプルです。
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