透析患者さんにとって、災害に対する備えは健常人よりも大切な意味を持ちます。

人工透析は、大量の水や電気を使用するため、災害時には様々な理由で透析が出来なくなる可能性があるからです。

災害時の行動や対策については、日本透析医会という学会が、しっかりまとめて公開してくれています。とても大事な情報なので、興味があっても、興味がなくても、目を通して、実践してください。

https://touseki-ikai.or.jp/category/saigai

しかし、災害対策は難しいですよね。覚えることや準備するものが多くて、どこに何があるのか良く分からなくなってしまうと思います。

今回は、災害時に備えて、日ごろから覚えておいてほしい透析をするのに最低限必要な情報についてまとめました。

災害時以外にも、旅行など何かしらの理由で普段とは別の施設で透析をする場合に、覚えておくと便利な情報になると思うので、少しだけ頑張って覚えてください。

ドライウェイト

ドライウェイトについては、

「言われなくても覚えてますー」

という方も多いと思いますが、透析をする上で一番大事な情報です。

さらに透析条件の中では最も頻繁に変わる数字なので、ドライウェイトが変わるたびに、しっかり覚えなおしてくださいね。

また、「風袋」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

体重測定の時に、パジャマの重さを引いたり、履物の重さを引いたりすることがありますが、そのときのパジャマの重さや履物の重さのことを「風袋」といいます。

透析をする場合、この風袋も考えなくてはなりません。ドライウェイトに風袋を含めるかどうかは施設によってそれぞれ異なっており、風袋が重いと、500~700g以上の誤差が出てしまうことがあるからです。

風袋の引き方は3パターンに分けられます。自分が普段、どのパターンで体重を測定しているのか、一度確認してみると良いでしょう。

ドライウェイト=裸の体重です。

ドライウェイト=裸の体重+履物です。この場合は、自分が普段使用しているパジャマの重さも覚えておいてください

ドライウェイト=裸の体重+パジャマ+履物です。この場合は、自分が普段使用しているパジャマや履物の重さも合わせて覚えておいてください。

少しややこしいかもしれませんが、自分の透析施設で

「自分の風袋の計算方法を教えて」

と言えば教えてくれると思います。

特に厚手で重さのあるパジャマや履物を使用している患者さんにとっては、風袋の除水誤差は結構馬鹿にできない数字になります。安全に透析を受けるためにも、ドライウェイトと、風袋の引き方、必要な場合はパジャマや履物の重さも覚えておいてくれると助かります。

ダイアライザー

使用しているダイアライザーも重要な情報です。スタッフによっては「透析膜」とか「フィルター」とか言っているかもしれません。(※正式名称は治療方法などによって異なりますが、ここではダイアライザーで固定します。)

そこまで頻繁には起こりませんが、患者さんによっては、ダイアライザーの種類によって、アレルギー反応や血圧低下が起きることがあります。

そのため、別の施設で透析をする場合は、なるべくこれまでと同じ素材のものを使用したいのです。

全ての施設に同じダイアライザーがあるわけではないので、全く同じものを選ぶことは出来ないかもしれませんが、素材が近いものなどを選ぶことが出来るので、覚えておいてくれると助かります。

ダイアライザーは大抵、

○○○-▲▲●●(〇:大文字英字、▲:数字、●:大文字英字)

の形で表記されています。

頭の大文字英字の○○○だけでも覚えてくれると助かります。(下の画像ではNFとかAPSの部分です。)

数字の▲▲は可能であれば覚えてください。(下の画像では両方とも21の部分です)

末尾の大文字英字の●●は覚える必要ありません。(下の画像ではHSとかSAの部分です)

ダイアライザーの側面に表記されているので、自分のダイアライザーの種類が分からないという方は、治療中に見てみてください。もちろんスタッフに聞いても大丈夫です。

普段、透析が始まる前に自分のダイアライザーの名称を毎回確認してみるクセをつけてみてください。自然とダイアライザーの名前も覚えられると思います。

毎回確認していたら、スタッフが間違えてしまったものが準備されていることもあるかもしれません。そんな時はそっと教えてあげてくださいね。

アレルギーが出たダイアライザー

これまでに、ダイアライザーが原因でかゆみが出たり、気分が悪くなったりしたことがある方もいると思います。

このようなアレルギー反応が出た場合、透析施設ではそのダイアライザーの素材を使用禁止にします。そのため、アレルギーが出た際に使用していたダイアライザーの種類も覚えておくと安心です。

ダイアライザーによるアレルギー反応はそこまで多い事例ではないので、身に覚えがなければ気にする必要はありません。

抗凝固薬

「血液をサラサラにする薬」なんて呼ばれることが多いと思います。

おおよそでも良いので、使用量と合わせて覚えてくれると助かります。

透析に使用される抗凝固薬は4種類あります。

  • ヘパリン
  • 低分子ヘパリン
  • ナファモスタットメシル酸塩(呼びづらいのでナファモスタットと呼びます)
  • アルガトロバン

薬の名前は難しくって、一般名と商品名が違うため、実際に病院で使用している薬の名前は、違ったりします。

商品名はコロコロ名前が変わったりするので、覚えていただけるのであれば上述した一般名で覚えていただいたほうが伝わりやすいと思います。

多くの患者さんは、「ヘパリン」を使用していると思います。

一部に「低分子ヘパリン」の患者さんもいると思います。

「ナファモスタット」や「アルガトロバン」を使用している方はあまりいないと思います。

使用禁忌の抗凝固薬

抗凝固薬の名前や使用量を覚えることも大事なのですが、それより大事なのは、使用できない薬を覚えることです。

特に以下の2つに当てはまる方は重篤な副作用が出ることがあるので注意が必要です。

この症状が出たことがある患者さんは、初めて透析をする施設ではその旨を必ず伝えるようにしてください。

災害時だけでなく、旅行の際などにも、伝えておいて損はない情報です。

自分の安全は自分でつくる

2011年の東日本大震災で被災した透析患者さんを受け入れした際、患者さんの透析情報がが滞っており、非常に大変な思いをしました。

もちろん患者さんも非常に不安な思いをしたと思います。

そのため、今回は、「覚えておけば、より安全に透析を行うことの出来る情報」をまとめました。

しかし、もちろんこれだけでは災害対策としては不充分です。透析情報カードやお薬手帳の携帯、普段透析をしている施設の連絡先など、大事なことはたくさんあります。

この記事の最初に紹介した、透析医会がまとめている災害対策をしっかり読んで準備して、それにプラスして自分の透析条件を覚えることが出来れば、初めての透析施設でも少し安心して透析を受けることができると思います。

透析患者さんの災害対策はとても重要ですが、覚えることが多く、とても大変です。しかし、有事の際には本当の安全を作れるのは自分自身です。

少しずつで良いので、自分の透析条件について興味を持って、透析のことを覚えていってくださいね。

それでは楽しい透析ライフを過ごしてください。

ABOUT ME
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佐藤さん
病院に勤めて15年。 様々な患者や医師、看護師などの医療関係者と関わってきました。 透析の話を中心に、病気の話、患者の話、スタッフの話、病院内での様々な話を投稿したいと思っています。
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