思い出の患者さん:イケイケのAさん

今回は、様々な透析施設で働いてきて、その中でも印象に残っている透析患者さんについて記事にしたいと思います。
若くて刺青多めのAさん
Aさんは、私が病院で働きだして間もないころに透析を導入した患者さんでした。
30代前半で透析を導入したAさん。身長は高くないものの、体格が良くて、刺青が多めのいわゆる強面という感じの印象でした。
実際はヤ〇ザとかではなく、少しやんちゃなお兄ちゃんというだけでしたが、社会人経験が未熟だった私にとっては積極的にコミュニケーションをとれる雰囲気ではありませんでした。

人は見た目じゃない?
それでも透析を続けていく中で、患者さんとのコミュニケーションは必須です。
当時はエコー穿刺なんてものはなく、なんとなくで針を刺していた時代でした。内心は
「こーんな怖い人に針刺すの嫌だなぁ」
なんて思っていると、
「この刺青の牙の部分から首に向かって刺すと入るらしいよ」
なんて教えてくれて、やってみるとちゃんと入って。
そんなこんなで徐々に打ち解けていき、見た目が少し恐めなだけで、ただのバイクが好きなお兄ちゃんなんだということが分かってきました。
改めて、人は見た目じゃないなぁと。当時は思っていました。

仕事に復帰できなくなってしまい…
透析自体は順調に経過していたAさん。しかし、私生活のほうでは大きな影響が出ているようでした。
透析になる前までは、大工さんだったそうなのですが、体調不良で休みがちになり、だんだん仕事に行くことが出来なくなってしまったそうです。
そこから少しネガティブになってしまったようで、就職活動もできず、ただただ家と病院を往復するだけの生活になってしまいました。
ずっと家にいるだけになってしまうと、食事や水分の管理もどんどん出来なくなっていってしまいます。そうして透析間の体重増加もどんどん増えることになっていってしまいました。
30代と若かったこともあり、最初のうちは多めの除水でも問題なく引けてしまっていたAさん。それに味を占めてしまったのか、スタッフの言うことには耳を貸してくれず、ドライウェイトが60kg台だったのに対し、除水量は5.0kg~6.0kgと身体になかなか厳しめの鞭を打つような数字になっていってしまいました。

暴力事件
非常に多めの除水量も、最初は問題なく除水できていました。しかし、急激な増加と除水を繰り返し、心臓に過剰な負荷を毎日のようにかけ続けていたAさんは、透析中に血圧が下がることが多くなり、ついには透析中に意識が飛んでしまうようなことも。
そんなことがあっても、若干投げやりになってしまっていたのか、食生活を全く変えようとはしてくれませんでした。
徐々に透析スタッフにも攻撃的な態度をとるようになってきてしまい、特に年配のスタッフの方々とは頻繁に揉め事を起こしていました。裁判沙汰になりそうなときもありました。
最終的に、臨床工学技士のベテランスタッフに手を出してしまい、それが契機となって病院のブラックリストに入ってしまい、それからは会うことはありませんでした。

透析導入の先にある現実
Aさんは、働き盛りの若い時期に、急にこれまで従事していた仕事が出来なくなってしまい、生活の基盤が揺らぎ、精神的にとてもつらかったのだと思います。
透析が始まるまで従事していた大工という仕事は、肉体的にとてもハードなイメージなので、透析しながらというのは確かに難しかったかもしれません。治療と仕事の両立がなかなかできず、悩んでいる患者さんはたくさんいるのが現実です。
非常に大変な病気なので、他の仕事を見つけてとか頑張れとか、無責任なことは言えませんが、それでも同じような境遇で、働くことをあきらめていない人はたくさんいます。とても大変そうですが、透析と仕事を両立して頑張っています。尊敬に値することです。
透析が始まると、それまでの人生が大きく変わる転換点になると思います。透析になっても、社会復帰してバリバリ頑張っている患者さんはたくさんいるので、これから透析になる方も、現在透析中の方も、さまざまなことにチャレンジして、楽しい透析ライフを過ごしてください。

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