【かゆみ】【搔き傷】【感染】透析患者さん、お肌の保湿してますか?【肌を守ろう!】

透析患者さんは肌が乾燥しやすいため、日常生活において「肌の保湿」が非常に大事だと言われています。
保湿は、特に男性患者さんにとっては慣れない行為で、疎かにしている患者さんが多いのが現状です。
しかし、保湿を怠ることで、痒みや皮膚の裂傷、感染を引き起こすこともあるのです。
今回は保湿の重要性についてまとめています。
保湿の重要性
透析患者さんのうち、肌が乾燥している患者さんは80~90%以上と言われています。
透析患者さんに非常に多い乾燥肌。乾燥肌を放置しておくと、こんな合併症を引き起こすことになります。
肌の乾燥による3大合併症
- かゆみ(透析掻痒症)
- 皮膚裂傷(掻き傷)
- 感染
乾燥によって合併症が引き起こされる原因
乾燥によってかゆみや裂傷、感染といった合併症が引き起こされる原因は、
【肌のバリアが薄くなってしまう】
ためです。具体的には
- 肌に水分がなくなる
- 肌に水分がなくなることで、皮膚の細胞部分(角質細胞)が薄くなってしまいます。

- かゆみを伝える神経が皮膚の表面まで伸びてくる
- 角質細胞が薄くなることで、かゆみを伝える神経が皮膚の表面まで伸びてきます。

- 外界からの刺激に敏感になる
- アレルギー物質などによる刺激に敏感になり、かゆみが出やすくなります。

ということがおこります。
この皮膚のバリアを乾燥から防ぐために、「保湿」が重要になるのです。
かゆみ(皮膚搔痒症)
「かゆみ」は透析患者さんの7~8割が感じているといわれています。
痒みは、ストレスを感じたり、睡眠障害を引き起こすことで、生活の質を下げる原因になります。
最近では、痒みの有無で、死亡リスクが上がるなんていう研究結果も出ています。1)
しかし、透析患者さんの痒みに関しては、すべて「乾燥肌」が原因というわけではありません。

かゆみの原因
透析患者さんの痒みの原因には、以下のようなものがあります。
透析患者さんの痒みの原因
- 乾燥肌
- 尿毒素の影響
- カルシウムとリンが高い
- ダイアライザーのアレルギー
- 薬の副作用
- ホルモン異常
痒みの原因は多岐にわたり、原因を突き止めるのが難しいこともあります。
痒みの原因の見つけ方
上述した通り、透析患者さんの痒みの原因は多く、なかなか原因の特定が出来ないこともあります。
痒みの原因を見つけるときは、基本的には
【可能性が高いと思われる原因を一つずつ潰していく】
ということになります。
具体的には、痒みを訴える患者さんがいたとき、
- 保湿クリーム
- まずは痒みの可能性が一番高い乾燥の対策をします。
ヒルドイドや、ワセリンが使用されます。

- 保湿クリーム+ステロイドの塗り薬
- 保湿で効果を認めない場合、アレルギーの可能性を考慮して、ステロイドの軟膏を加えてみます。

- 内服や注射など薬の投与
- ステロイドの塗り薬でも効果を認めない場合、「レミッチ®」や「コルスバ®」などの薬を使います。
薬を使用する場合は、眠気や便秘など副作用が起こることがあるので、処方された場合は注意してください。

かゆみが治まるまで、様々な対応や薬を試す必要があるため、痒みの原因を突き止めるためには、それなりの時間が必要になります。
また、薬を使っても痒みが治まらない患者さんもたくさんいらっしゃいます。
皮膚裂傷(搔き傷)
皮膚裂傷は、かゆみが原因で、皮膚を描いてしまうことによって出来てしまう傷です。
透析患者さんは、皮膚が乾燥していることが多く、皮膚のバリアが薄くなっているケースが多いです。
そのため、少し掻いただけでも「掻き傷」となってしまう場合があります。
ひどくなると、腕や足が傷だらけになってしまうこともあります。

感染
掻き傷ができてしまった時、その傷は清潔に保つ必要があります。
透析患者さんの場合、小さな傷から細菌が入ってきてしまい、重篤な合併症に繋がる場合もある為です。
傷口から菌が入ることによる合併症
- 蜂窩織炎
- 筋膜炎
- 破傷風
- 膿瘍
など
いくつかは聞いたことのある合併症だと思います。
放置しておくと激しい痛みだけでなく、呼吸困難など全身に症状が発症することもあるので、少しでも違和感を感じたら皮膚科を受診するようにしてください。
皮膚を守るのに大切な三要素
皮膚を守るためには、以下の三要素が大切です。
痒みの症状がない場合でも、普段からケアをすることでかゆみを抑えることが出来るので、是非実践してください。
皮膚を守る三要素
- 保湿
- 保護
- 保清
保湿
上述もしていますが、肌を守るための基本です。
肌の保湿のために
- 市販の保湿クリームやローションで構いませんので、毎日保湿剤を塗るようにしてください。
- 熱すぎるお風呂は肌の乾燥を促進するので控えてください。
病院で処方される「ヒルドイドソフト®・ヒルドイドローション®」などは、透析施設でも処方してもらえると思いますが、今は医薬部外品としても購入できるので、薬局やインターネットでの購入もお勧めです。
「ヒルドイド類似物質」と記載があるものが「ヒルドイドソフト®・ヒルドイドローション®」と同様の保湿クリームとなります。
保護
保湿をしても、乾燥肌はなかなか防ぐことが出来ません。
そのため、外からの刺激から肌を保護することも意識してください。
肌の保護のために
- アームカバーやレッグカバーの使用がお勧めです。
- どうしても痒い時は爪をたてないようにしてください。
- 皮膚をナイロンタオルなどで強くゴシゴシ洗わないようにしてください。
アームカバーに関しては、シャントを圧迫しないものを選ぶように注意してください。
保清
皮膚についたアレルギー物質や菌が、かゆみを引き起こす原因となることがあります。
また、目に見えない小さな傷口からでも菌が侵入してくることがあります。
目立つ傷がなくても、普段からお肌を清潔に保つことが大切です。
ただし、清潔に保ちたいからと言って、ナイロンタオルなどで肌をゴシゴシ擦らないように注意してください。肌を傷つけてしまう恐れがあります。
肌を守ろう!
透析患者さんにとって、永遠の敵である乾燥肌。
普段から保湿、保護、保清を意識して生活することで、かゆみが抑えられるということはこれまでの研究で示されています。
忙しい中で、特に男性患者さんからはどうしても疎かにされてしまいがちな肌の保護。
生活の質を守るうえでとても大事な要素です。
これから少しだけでも意識して生活してみてくださいね。
また、それでもかゆみが出てしまった場合や、なかなかかゆみが良くならない場合は、透析の主治医に相談の上、皮膚科に受診してみてください。
専門の医師の方が、適切なアドバイスをくれるかもしれません。
それでは素敵な透析ライフをお過ごしください。

1):参考文献 Sukul, N. et al. Self‒reported Pruritus and Clinical, Dialysis‒Related, and Patient‒Reported Outcomes in Hemodialysis Patients. Kidney Med. 3(1),2020, 42‒53.














