【危険】透析患者さんの足のトラブル【足の切断リスクも】

透析患者さんは、血管が詰まったり細くなったりして、足の血流が弱くなりやすいという特徴があります。
そのため、透析をしていない方に比べて足の傷が治りにくく、小さな傷でも重症化してしまう恐れがあります。
足のトラブルが重症化すると、足の切断など、非常に危険な状態になる可能性があります。
そのため、足のトラブルについては、早めに気づいて早めに治療をすることが重要です。
透析患者さんの足のトラブル(PAD:末梢動脈疾患)
透析患者さんは、透析をしていない患者さんに比べて足の血流が弱く、PAD(末梢動脈疾患)という病気にかかりやすいと言われています。特に、糖尿病を併発している患者さんでは、さらにそのリスクが高くなります。
PADの主な症状として以下のようなものがあります。
PADの主な症状
- 足のしびれ
- 足の冷感
- 足の痛み
- 足に潰瘍
- 足の壊死

透析期間が長くなるにつれてPADの割合は高くなり、長期の透析患者さんのうち、約40%がこのPADの状態にあると言われています。
また、透析患者さんがPADになると、足の切断の可能性もあり、早期の発見・治療が重要です。
Point
透析患者さんのうち、足の切断に至る患者さんは年間で0.62%とされています。
0.62%というと少ない数字に見えますが、足の切断は最後の手段です。
切断に至る直前の患者さんの足は、紫に変色し、冷たくなってしまいます。そして患者さんは、透析中に激しい痛みを訴えています。
さらに足の切断に至ってしまった患者さんの1年後の生存率は50%程度と非常に低くなっています。
足の救命は生命を助けることと同じです。是非大切にしてあげてくださいね。
参考文献:日本透析医会雑誌Vol.36,No.3:糖尿病透析患者における末梢動脈疾患(PAD)の病態と治療
なぜ透析患者さんの足トラブルは重症化してしまうのか
透析患者さんの足のトラブルが重症化する例を一つ挙げてみます。
- 足の先に小さな傷が出来ても気づかない
- 透析患者さんは、神経障害が起こりやすく、足の感覚が鈍くなっていて、多少の傷ができても気づきにくいことがあります。
- 傷の治りが遅い
- 傷が自然治癒するには、必ず血液が必要です。
血管が細く、血液の流れが悪くなっている透析患者さんの場合、創部に血液が運ばれないため、傷の治りが遅くなってしまいます。
- 傷口から感染
- なかなか治らない傷口から、そのうち感染を起こしてしまいます。
- 痛みが出る
- 痛みが出るころには大きな潰瘍になっていることがあります。
早期発見・早期治療の大切さ
重症化させないためには、PADの早期発見、早期治療が大切です。
PADに対する検査としてはABIというものがあります。
ABIは、足首と上腕の血圧を測定して、その差を比べる検査です。
非常に簡易的な検査であり、透析施設の定期検診として組み込まれていることも多いのではないでしょうか。
Point
このABIの値が、0.9未満だと血管が閉塞しているなどの障害が疑われるということになっています。
しかし、このABI<0.9という数字は、非透析患者を対象としている数字であり、透析患者さんに対しては、1.06未満で血管閉塞が疑われるという報告もあります。
もし、定期検診でABIを受けているなら、その数字に少し興味を持ってみてください。
参考文献:日本透析医会雑誌Vol.36,No.3:糖尿病透析患者における末梢動脈疾患(PAD)の病態と治療
もし、定期検診にABIが含まれていない場合は、健康診断を定期的に受けてくださいね。

PADの治療
PADの治療方法は様々な方法があります。
PADの治療方法
- 血管内治療
- 手術(外科的バイパス術)
- 末梢血幹細胞移植
- マゴット療法(ウジ虫に治してもらう治療)
- レオカーナ
血管内治療
カテーテルから足の血管にバルーンを通し、バルーンを膨らませて、細くなってしまった血管を広げる治療方法です。
透析患者さんのシャントPTAと同じような治療内容です。

手術(外科的バイパス術)
詰まってしまった部位の上下に血管をつないで、新たに血管の通り道を作る方法です。
手術によって足を切開する必要があります。

末梢血幹細胞移植
自分の血液から CD34 陽性細胞と呼ばれる細胞を採取し、足の筋肉に注射する方法です。
保険適応の治療ですが、10割負担の場合はとても高額な治療になります。
マゴット治療
医療用のウジ虫に足の潰瘍を治してもらう治療方法です。
こんな治療があると聞いたことは何度もありますが、私は見たことがありません。
保険適応ではないため、この治療を受けるなら高額の資金が必要になります。

レオカーナ
2021年に保険適応となった、新しい治療法です。
血液を外に出して、血液の中の血管を詰まりやすくする物質を取り除いて体内に返すという、透析と同じような治療方法で、足の血流を改善させます。
非透析患者さんでは、首からカテーテルを入れる必要があります。
シャントをお持ちの透析患者さんであれば、シャントからレオカーナの治療を受けることが可能です。
ただし、週に2~3回(2時間)の治療で、透析と同時には出来ないため、透析患者さんにとっては時間の制約がさらに厳しくなってしまう治療です。

PADの治療方法については、まだ種類がたくさんありますが、本稿では割愛させていただきます。
血管内治療と手術をメインの治療として、補助としてその他の治療を組み合わせて行うのがPADの基本的な治療です。
足の温存を目指して
透析患者さんにとって、足のトラブルは非常に多く、致命的になる可能性もあります。
足の切断という話になると、激しい痛みに襲われ、生活の自由は奪われ、それに伴って生存率も著しく低下します。
早期発見・早期治療のために
- 定期検診をしっかり受ける
- 定期検診の数字を見直す
- 日頃から足の傷を確認する
そんな意識が大切です。
生活の質を上げるために、自分の身体のことをしっかりメンテナンスしてあげてくださいね。
それでは素敵な透析ライフをお過ごしください。
















