透析患者さんに質問される内容で多いのが、透析日のお風呂です。

透析日のお風呂については、関連学会から特に決まったルールが出されていません。

一応、関連学会が出している患者さん向けのパンフレット(腎代替療法選択ガイド2020)には、「透析日の入浴は原則的に禁止」という内容が記載されています。

さらに、このパンフレットには、血液透析を受けた当日は入浴だけでなく、シャワーも控えるようにと記されています。

しかし、インターネットで検索をかけてみると、「シャワー浴は問題ない」などの記載もあって、混乱してしまうと思います。

今回は、透析日のお風呂について、病院が患者さんにどのように指導しているのか、実際に透析患者さんはどうしているのかをまとめてみたいと思います。

透析患者さんが入浴してはいけない理由

主に透析患者さんが入浴してはいけないとされる理由は以下の3点です。

透析日に入浴してはいけない理由

  • シャント肢からの感染
  • 入浴による血圧低下
  • 出血

シャント肢からの感染

一般的にお風呂の温度は、菌が繁殖しやすい温度になっているとされ、シャントの穿刺部から傷口にばい菌が入ると、感染の可能性が高くなるということです。

入浴による血圧低下

入浴による急激な温度変化は、血圧が大きく変動する危険性が高くなります。

特に透析日は体液量が低下しているため、入浴を控える必要があるとのことです。

出血

穿刺部を洗う際に、強く擦ってしまうと、かさぶたが剥がれ、出血してしまうリスクがあります。

細かく書けばまだあるのですが、大きくはこの3点だと思っていただいて構いません。

病院の指導する入浴方法

透析日の入浴については、関連学会からの指導がないため、入浴に関する指導内容は病院やクリニックの判断に任せられています。

病院からの指導は以下の3つに大別されていると思います。

病院による透析日の入浴に関する指導内容

  1. 透析日はシャワーだけにしてください。
  2. お風呂もシャワーも入らないでください。
  3. 決まってません。

①透析日はシャワーだけにしてください

外来患者さんに対する指導に関しては、この指導方法が多いように感じます。

入浴はNG。シャワーのみOK。という内容です。

②お風呂もシャワーも入らないでください。

基本的に入浴もシャワーもNGという内容です。

患者さんにはお風呂やシャワーは透析の翌日か、透析前に済ませるようにと指導していました。

また、入院している患者さんに対してのみ、入浴やシャワーはNGと決めている病院もありました。

③決まってません

病院として入浴に関する指導は行っておらず、患者さんから聞かれたときに、スタッフの判断で回答する、というパターンです。

このパターンは聞くスタッフによって答えがばらばらということもあります。

意外とこのパターンの病院も多いと感じています。

病院から指導が入るときは、やはり「入浴はNG」という指導が多いと感じます。

当然ですが病院は責任を負いたくないので基本的には考え方が保守的です。そのため、病院として「入浴OK!」とする病院はないかもしれません。

また、病院では入浴に関する指導方法を決めていないということもあります。

透析患者さんの入浴状況

実際に患者さんは透析日に入浴しているのかどうか。

患者さんに少し聞いてみました。

当然、午前クールの患者さんと、午後(夜間)クールの患者さんでは答えが違うので、別々にまとめてみます。

※私が個人的に話した患者さんの回答なので、ばらつきはあると思います。ご了承ください。

午前クール

透析患者さんの入浴状況(午前クール)

  • シャワーだけにしてる。透析終わってから時間は空けるようにはしてる。
  • シャワーも入浴もしない。
  • 基本的にはシャワーも入浴もしないようにしているが、夏はシャワーだけ。
  • 寒かったら入浴もしてる。
  • 気にしない。入浴したければする。
  • え、駄目なの?

午前クールは結構皆さん自由なイメージがあります。

透析日はシャワーのみにしているという患者さんが一番多い印象です。

ネットでも検索をかけてみると、シャワーはOKというサイトが多いですし、それを参考にしているのかなと感じます。

次に多いのは、シャワーもお風呂もしないという患者さんです。

透析日はそんな気力がないという患者さんと、病院からの指導を守って、お風呂もシャワーもしないようにしているという患者さんがいました。お風呂もシャワーも入らない患者さんは

本当はお風呂入りたいわ。

と皆さんおしゃっていました。

基本的にはお風呂もシャワーも入らないという患者さんの中にも

さすがに夏はシャワーないと無理。

と夏はシャワーだけ入るという患者さんもいました。

そして少数派でしたが、若くて血圧も安定している患者さんで、普通に入浴している方もいらっしゃいました。

普通に入るよ。お風呂好きだし。何も問題起きないし。

また、お風呂に関する指導がされておらず、何も知らずに普通に入浴している患者さんもいました。病院として透析後の入浴に関する指導が曖昧だと、このようなことも起きる可能性があります。

続いて午後クールの患者さんです。

午後クール

透析患者さんの入浴状況(午後クール)

  • 仕事もしてるからさすがにシャワーだけはしたい。
  • 我慢して次の日の朝にシャワーだけする。
  • 透析前にシャワーを済ませてきてる。
  • このあと仕事。お風呂とか入れない。

午後(夜間)クールの患者さんは、仕事してから透析をするという患者さんも多く、さすがにシャワーだけはするという患者さんが多い印象でした。

また、

仕事→ジム→シャワー→透析

という患者さんや、

昼に起床→シャワー→透析→仕事

という患者さんもいらっしゃったりして、みなさん様々な生活リズムをお持ちでした。

そして、私が聞いた中では、仕事後に透析に来ている患者さんで、透析後に入浴をしている患者さんはいませんでした。

実際にはいるんだと思いますが、透析自体が大変な治療で、仕事後に透析をしていたらもうお風呂なんか入りたくないのかなと思います。

穿刺部は洗う?

透析後にシャワー(お風呂)に入ったとして、穿刺部をどうしているかも気になると思います。

透析日のお風呂で穿刺部は洗う?

  • シャントの腕は洗わないようにしてる。
  • 透析後の絆創膏したまま入る。お風呂の後外す。
  • 創部は防水フィルムで保護しておく。
  • 手で優しく洗う。ゴシゴシしないように気を付けてる。
  • 1回血が出てから洗わないようにしてる。
  • この前思いっきり洗っちゃった!大丈夫だったけど気を付けないと…

シャントの腕は洗わないという患者さんが少し多いかなという印象でした。

また、創部を絆創膏や防水フィルムで保護しておくという患者さんも多かった印象です。

防水フィルムは創部の保護以外にも使えて便利なので、持っておくと良いかもしれません。

石鹸を泡立てて、優しく洗っているという患者さんもいました。消毒液にイソジンを使っているような患者さんは、イソジンの跡が気になりますよね。

また、実際にお風呂で血が出てしまったことがあるという患者さんもいました。

血が止まりづらい患者さんは確かにいますので、もしシャワーや入浴をするのであれば、シャワー前に穿刺部の止血確認はしっかりするようにしてください。

また、入浴時に限らず、透析日は穿刺部から出血してしまう危険がありますので、出血時に備えて、清潔なタオルやガーゼも常備しておいてください。

基本的にはタオルで良いと思いますが、使い捨てのガーゼも家にあると便利です。滅菌である必要はないので、家に一箱あって損はないかなと思います。

もし家に置いておくなら、一番少なく、一番小さいので十分です。

入浴は本当にしちゃいけないの?

透析患者さんに対し、透析日の入浴は「原則的に禁止」となっています。

しかし、実際に入浴していて、何の問題もない患者さんもいらっしゃいます。

私個人の意見ですが、入浴によるリスクを分かっていて、血圧が極端に低くなくて、出血のトラブルに自分で対応できる患者さんであれば、シャワーや入浴は問題ないと思っています。

病院や医学会は、何か問題があると困るので、保守的な見解を出していることもあります。私生活で余計な制限をかけられるよりも、なぜその制限がかかっているのかを把握して、少しでも不快感のない透析生活を送ってほしいなと思います。

それでは素敵な透析ライフをお過ごしください。

ABOUT ME
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佐藤さん
病院に勤めて15年。 様々な患者や医師、看護師などの医療関係者と関わってきました。 透析の話を中心に、病気の話、患者の話、スタッフの話、病院内での様々な話を投稿したいと思っています。