透析中に足やお腹がつってしまったことのある患者さんは多いのではないでしょうか。

透析患者さんを悩ます「こむら返り」。

今回はそのメカニズムと対策についてまとめました。

こむら返りの原因は一つではありません。今回ご紹介する内容が、すべての方に当てはまるとは限らないことを、あらかじめご理解いただければと思います。

透析中につってしまうのはなぜ?

まずは透析中になぜつってしまうのかを簡単にざっくり説明します。

透析中につってしまうメカニズム

透析中は除水をして血液が濃くなると、筋肉からカルシウムが放出されて、攣ってしまう

つまり、透析中のつりの原因は、

  • 過度な除水
  • カルシウム不足

ということになります。

つってしまう原因を少し詳しく

説明適当すぎるやろ!

となりそうな薄い説明になってしまったので、透析中に攣ってしまうメカニズムを少し詳しく説明します。

上述してある内容と同じ内容ですので、読み飛ばしていただいてもかまいません。

透析で過度な除水を行う
増えが多く、除水量が多かったとします。
血液の濃縮がおこる
除水によって血液中の水分が捨てられ、血液が濃くなります。
これを「濃縮」と呼んでいます。
血液がアルカリ性の方向に
腎不全になると血液は酸性になります。
「重炭酸」というイオンが不足するためです。
透析ではそれを補正するため、「重炭酸」が補充されます。
そのため、透析中は血液はアルカリ性の方向に傾いていきます
さらに濃縮することによって、血液中の重炭酸の濃度は濃くなります。
そうすることで、血液はアルカリ性方向に加速します。
筋肉からカルシウムイオンが放出される
血液がアルカリ性になると筋肉からカルシウムイオンが放出されます
つる(こむら返り/筋収縮)
カルシウムイオンが放出されることで、筋収縮がおこります。

少し複雑ですが、上記のようなメカニズムでこむら返りが起きてしまいます。

酸性とかアルカリ性とかイオンとか出てくると良く分からなくなりますね( ;∀;)

つってしまった時の対応

上述もしましたが、基本的な対応は以下になります。

つってしまった際の対応

  1. 除水の停止
  2. 補液
  3. 攣った部分を温める
  4. カルチコール(カルシウム)の投与
  5. 筋肉を伸ばす

①~③ 血液中の水分量を増やす

まずは、除水を止めたり、補液をしたり、温めたりすることで、患部の血液量を増やします。

正確に言えば、濃くなってしまった血液を薄くすることで、症状を落ち着かせます。

血液が濃くなり、アルカリ性になってしまっている状態を、水で薄めて正常な状態に戻していくというイメージです。

④ カルシウムの補充

「カルチコール」という薬を入れて、カルシウムを補充します。

筋肉からカルシウムが放出されて攣りが起きているので、理にかなった対応です。

しかし、透析患者さんからすれば普段から食生活でいろいろ言われるカルシウムを薬で注入されるのは少し抵抗のある患者さんもいらっしゃるかもしれません。

⑤ 痛みの緩和

筋肉が収縮して痛みが出ているので、伸ばしてあげて痛みを緩和します。

足をつってしまった時のNG行動!

NG行動:立ち上がる

これは気持ちはわかるので、仕方ないとも思うのですが、透析中や透析後に、足をつって立ち上がってしまう患者さんが多くいらっしゃいます。

足をつってしまったので、上半身の血液を足に送ろうという気持ちで立ち上がってしまうのだと思います。

「患部に血液を送る」という発想は正しいのですが、つっているときは身体の水分量が足りていないときが多いです。その状態で立ち上がってしまうと、血圧が下がってしまい、そのまま意識が飛んでしまいます。

私自身、痛みで起き上がって、そのまま意識を失う患者さんをたくさん見てきました。

足をつって立ってしまった場合は、もう倒れる前提で準備をします。

もしかしたら読んでくださっている方の中にも同じ経験をした方がいるかもしれません。

もしどうしても立ちたいなら、スタッフを呼んで、倒れても頭を打たないように立ってください。あと、体重が重めの患者さんは、パワーのあるスタッフを呼んでくださいね。

昔はつらなかったのに。。。

透析患者さんから

透析を導入したころはこんなにつらなかったのに!

最近はつってばかり!なんで?

ということをよく聞かれます。

おそらく、「カルニチン」という物質が影響してるのではないかなと思います。

カルニチン

カルニチンは、簡単にいうと身体を動かすのに必要なエネルギー源となる物質で、通常は食事からの摂取が可能です。

しかし、透析患者さんの場合、カルニチンは透析で除去されてしまう上に、食事制限によって、カルニチンが不足してしまうことがあります。

このカルニチンが、りを抑える役割を果たしています。

そのため、透析をしている期間が長くなるにつれて、カルニチンが不足し、こむら返りが起こりやすくなっているのだと思います。

ちなみに、カルニチンが不足すると、心不全や貧血も悪化するといわれています。

患者さんの中には透析後に「エルカルチン」という薬を入れている患者さんもいらっしゃるかもしれません。この「エルカルチン」という薬の中に、「カルニチン」が含まれています。

なので、透析中に毎回どこかつってしまうという患者さんは

エルカルチンを入れて!

とお願いしてみてもいいかもしれません。

「つり」と上手に向き合うために

透析中のつりは、透析患者さんにはとても多く、非常につらい症状です。

私個人としては、攣りそうになったら直ちに除水を止めるのが一番良いとは思っていますが、患者さんそれぞれに事情があるので、なかなかそうもいかないと思います。

こむら返りについて、メカニズムを知っておけば、多少の対策になるかと思い、今回の記事をまとめました。

少し医学的な言葉も出てきてしまい、読みずらい部分もあったかもしれません。

我々スタッフと患者さんが同じ知識を共有しながら一緒に治療に取り組むことで、治療に対してより良い話し合いが出来るので、お互いにとってプラスになる関係が築けます。

少しでもつらさが和らぐ透析に繋がれば良いなと思います。

それでは素敵な透析ライフをお過ごしください。

ABOUT ME
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佐藤さん
病院に勤めて15年。 様々な患者や医師、看護師などの医療関係者と関わってきました。 透析の話を中心に、病気の話、患者の話、スタッフの話、病院内での様々な話を投稿したいと思っています。
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