忘年会、クリスマス、年越し、迎春、新年会。

年末年始には様々なイベントがあります。

そんな年の瀬から新年にかけては、透析患者さんが救急搬送されやすい季節となっています。

透析患者さんが年末年始にどのような病気で緊急搬送されてくるのか。その原因や対策をまとめてみました。

溢水(いっすい)

溢水は、水分を過剰に摂りすぎたときに、水分が血管の中だけでは収まりきらず、血管からあふれ出てきてしまい、あふれ出た水分によって肺が水浸しになってしまう状態です。ご存じかと思いますが、人間は肺から血中に酸素を取り入れています。そのため、肺に水が溢れてきてしまうと、溺れてしまった時のように、酸素が足りなくなって倒れてしまいます。

年末年始に溢水の透析患者さんはなぜ増えるのでしょう。

忘年会ですよね。

忘年会が続くと、つい飲み過ぎてしまい、透析間の増えが多くなり、お残しになってしまうことも多々あるかと思います。お酒を前にすると逃げられませんよね。この季節は鍋も美味い。

しかし、お残しをした状態で、また忘年会が続くと、さらに増えてしまい、限界を超えると、上述した「溢水」の状態となり、苦しくなって救急車で病院へ直行ということになります。

溢水の状態になっているときには、心臓にも負担がかかっています。忘年会が続くシーズンで調整は難しいかと思いますが、お体ご自愛くださいね。

対策というほどのことでもないですが、

  • なるべく日本酒や焼酎など、アルコール度数の高いものを飲んで割り材などはいれない
  • 飲み会の次の日が透析日となるように予定を調整する

などの工夫をお願いします。

そんなに飲み過ぎないのが一番良いのですが( ゚Д゚)

高カリウム血症

高カリウム血症は、カリウムを多く含んでいる食べ物を一度に食べ過ぎてしまい、血中のカリウム濃度が高くなってしまう症状です。

高カリウム血症になると、心臓の動きが弱くなります。最悪の場合、心臓が止まってしまうこともあります。

年末年始に高カリウム血症の患者さんはなぜ増えるのでしょう。

原因の1つに、みかんなどのお正月に美味しい果物を食べ過ぎてしまうということがあります。

こたつに入って食べるみかんは美味しいですよね。柿なども美味しい季節です。

余談になりますが、お正月に高カリウム血症の患者さんを透析するために病院に呼び出されたことがありました。

少し認知機能が落ちており、ご高齢の患者さんでしたが、高カリウム血症によって心臓の動きが遅くなってしまい、倒れてしまって救急搬送という形でした。

後からご家族の話を聞くと、

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家になっている柿の木の一部の柿がきれいになくなっていた。多分食べちゃったんだと思う。

とおっしゃっておりました。

ご高齢なのにフットワークの軽い患者さんだなぁと感心したことを覚えています。

とはいえ、カリウム自体は身体に必要なミネラルなので、カリウムの多い食べ物を避けすぎないように気を付けてください。

血中のカリウム濃度は、低すぎても心臓の動きは悪くなります

そのため、普段の採血結果でカリウム(K)の値が正常範囲であれば、過度に気にする必要はありません。

普段であれば、たまに少しカリウムの高いものを食べて、医師に注意をされたら少し意識するくらいで良いのではないでしょうか。

ただ、お正月はほとんどの病院が休みで、救急外来以外が利用できない状態です。

救急対応してくれている医師が、透析のことを良く知らない場合などには、対応が遅れて手遅れになってしまう可能性もあります。

医師であれば全員が透析に詳しいわけではなく、皆さんそれぞれ専門分野をお持ちなので、救急対応してくれる医師が、透析関係の医師かどうかはもはや運任せです。

年末年始も週に3回は透析をしているので、度を越えて食べ過ぎなければそこまで心配することもないかと思いますが、万が一の時は本当に命に直結する症状です。特に認知機能の低下している透析患者さんがご家族にいる場合などは要注意です。

三が日など病院がお休みの時期は少し意識をしながらこたつで美味しいみかんを食べるようにしてください。

心筋梗塞

心筋梗塞など、心臓に関わる病気も多くなってくる季節です。

心筋梗塞は有名かと思いますが、心臓に血液を送るための血管である、「冠動脈」が詰まってしまい、血液が心臓に送られなくなる病気です。

心筋梗塞は、透析患者さんのみに関わらず、透析をしていない方でもこの季節は増えてきます。しかし、透析患者さんの場合は、透析をしていない方々よりも、心臓や血管に関わる病気のリスクが高いので、余計に注意が必要です。

心筋梗塞になりやすい状況を描いた有名なイラストを、Frank H. Netterという学者が描いています。

雪の降る寒い冬の夜に、レストランから出てきた男性が段差を上がっているときに胸を抑えている絵なのですが、著作権があり、ブログ等に載せることは出来ないようなので、興味があればググってみてください。

その絵では、

  • 暖かい場所から寒い場所への急激な温度変化
  • 階段を登るなどの運動
  • お酒を飲んでいる

このような条件がそろった時に、心筋梗塞が起きやすいということを伝えています。

心筋梗塞の主な症状は、

  • 胸が締め付けられる
  • 動悸
  • 胸痛

あたりが一般的です。

糖尿病のある患者さんには無症状の方もいらっしゃるそうです。糖尿病をお持ちの透析患者さんは多いと思いますので、そこも注意が必要です。

心臓に関する病気は命に直結するので、違和感を感じたら、すぐに救急車を呼んで、無理せず安静にしてください。

救急車を呼ぶほどではないと感じても、安静にして、翌日に病院に相談するくらいはしてください。手遅れになってしまう可能性の高い病気です。

この病気に関しては、日ごろから人間ドックなどをうけて、心臓の状態を把握しておいた方が良いと思います。

透析患者さんは病院に通っているから、健康診断なんて受けなくても良いだろうと思ってる方がたまにいらっしゃいますが、そんなことありません。

人間ドックや健康診断はしっかり受けておいてください。日頃の心構えは大事です。

年末年始は楽しみつつも十分注意を

寒くなり、お酒のイベントが多くなり、クリスマスなんていうイベントも重なって、世間が賑わう季節です。

透析をしているからと言って我慢する必要は全くなくて、是非とも羽目を外して楽しんでいただきたいと思います。

ただ、今の状況で自分にどんなことが起きる可能性があるのかを知っておくことと、何か違和感を感じたらすぐに病院に駆け込むことだけ意識していてください。

あとは人間ドックや健康診断も積極的に受けておいてくださいね。

胃や腸などの消化器もそうですが、透析患者さんの場合、心臓はしっかり診てもらっておいた方が良いと思います。透析をしていない人に比べてリスクが高く、さらに命に関わることなので。

それでは、しっかり安心を保ちながら、年末年始を楽しんでください。そして素敵な透析ライフをお過ごしください。

ABOUT ME
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佐藤さん
病院に勤めて15年。 様々な患者や医師、看護師などの医療関係者と関わってきました。 透析の話を中心に、病気の話、患者の話、スタッフの話、病院内での様々な話を投稿したいと思っています。
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