思い出の患者さん:恐かったBさん

今回は、様々な透析施設で働いてきて、その中でも印象に残っている透析患者さんについて記事にしたいと思います。
こわいBさん
40代で透析導入となったBさん。いかにもという感じで、ヤ〇ザの方でした。
透析を導入するために入院していたときにも、怖めの風貌をしたお兄さん(いわゆる舎弟だと思います)が何人かお見舞いに来ていました。
Bさんと初めて会った時の第一印象は
こわい
でした。
最初は透析の導入の時期だったので仕方ありませんが、あまり喋ってはくれず、とても張り詰めた様子で、緊張感が伝わり、風貌も相まって「こわい」という印象が一番に来てしまいました。ルッキズム全開ですが、怖かったです。
しかし、一応病院なので、患者さんの中にも職業ヤ〇ザの方も何人かいて、そんな皆さんはスタッフと仲良くしてくれていたので、透析に慣れてくればきっと仲良くなれるのだろうと思っていました。

初めての怒声
透析導入のための入院が終わり、外来透析に移行しました。外来透析になる前には、臨床工学技士長からスタッフ全員に
「その筋の人らしいからそのつもりで対応して」
とお話がありました。「えぇ…」という感じでしたが。
それからBさんは、ずっと緊張感のある静けさは持っていましたが、特に大きな問題はなく、一か月ほど経ちました。
ある時、透析室にとんでもない怒声が響き渡りました。
「!!!#$%&*@@@———!!!」
最初は何が起こったのか分からず、無駄にきょろきょろしてました。
それがBさんの怒声だと分かり、少し様子を見に近くまで行くと、どうやら先輩スタッフがBさんの穿刺を失敗してしまっていたようでした。
Bさんはそれが初めての穿刺失敗だったようで、烈火のごとく怒り狂ってしまい、体感ではなく、30分以上怒鳴っていました。
その場に看護師長や臨床工学技士長も来て、怒りを収めようとしていましたが全く治まらず、最後に担当医が来て少しお話をして、やっと治まりました。
その後、穿刺を失敗してしまったスタッフに話を聞くと
あー普通に殴られると思った。
とのことでした。

続く怒声とその影響
その事件が起きてからは、頻繁に爆発するようになってしまったBさん。若めのスタッフを中心に、看護師にも臨床工学技士にも満遍なく怒鳴っていました。
Bさんは、一度爆発してしまうと、30分~1時間は治まらず、ずっと怒り続けてしまいます。その時には、立場が上の人か担当医を呼んで、話をして、少しずつ治めていくという悲しいルーチンが出来上がってしまっていました。
そうなってしまうと、当然ですが、Bさんが怒っている最中は、他の患者さんへの対応が手薄でおろそかになってしまうということになります。怒られているスタッフと、対応するスタッフで最低でも3名は人手を取られてしまっているからです。
対応を待たされている他の患者さんからは
「何とかできないのか。いい加減にしてほしい。」
という苦情をたくさんいただくようになってしまいました。

Aさんとの衝突
余談になりますが、他の記事で紹介しているAさんと衝突したこともありました。
普段は午後透析のAさんと午前透析のBさんだったので会うことはなかったのですが、その時はBさんが午後透析だったので、透析時間が一緒になってしまっていました。
Bさんがいつも通り怒鳴ってしまい、それに反応したAさんが
うるせーぞ!このやろう!!!
と一喝したのです。そこから少しの間にらみ合いが続きました。
その時はお互い透析中で、機械に繋がれていたのでお互い手は出ず、にらみ合いだけで終わりましたが、本当に修羅場が始まってしまうのではないかとハラハラしました。

どんどん近寄りづらくなっていく…
Bさんが激高する原因は、本当に様々ありました。
正直に言えば、理不尽だなと思うこともたくさんありました。
- 手を消毒しないで俺の機械に触るな
- 寝てるのに物音をたてるな
- 血圧計をもっと丁寧に巻け
など、働いているとなかなか難しい注文ばかりになってきました。
しかし、担当医や看護師長、臨床工学技士長といった当時の責任者たちは、Bさんの言うことをすべて受け入れるようになっていました。
Bさんからのお叱りを受けて、透析室全体のルールも変わってきました。上記のお叱りから変わったルールは
- 機械を触る前は必ず手指消毒すること
- 患者さんがいるときは音が出る業務はしないこと
- 血圧計を丁寧に巻くこと
です。他にもたくさんのルールが変わりました。
どれも一つ一つは正しいかもしれませんが、Bさんに怒鳴られた後にルールが変わっていくことと、そのルールの縛られてしまい、他の業務が出来ないことにスタッフからは不満の声がたくさん出ていました。
そのうちBさんは、穿刺や返血などの行為を、すべて看護師長や臨床工学技士長など、立場が上の人だけを指名することになります。そうなると他のスタッフはさらにBさんに近寄りづらくなってしまいます。
この件が大きな原因で、この時期には多くのスタッフが辞めていってしまいました。

対等に話すことの大切さと難しさ
正直、当時のBさんに対する対応に関しては、責任者の方々には不満を持っています。
治療は、患者さんと医療従事者が対等に向かい合って、一緒に取り組んでいくものです。もしそこに上下関係が存在してしまうと、治療が正しい方向に進まなくなってしまいます。
しかし、この時は医者も含めてBさんが完全に「上」の存在になっていたと思います。そのため、治療がBさんからの一方通行になってしまい、医療者側がなんでも受け入れてしまうという状況になっていました。そうなると治療としては間違った方向に進んでしまいます。結果、Bさんにとっても効果的な治療が出来ず、不都合が生じてしまいます。
もちろん医療従事者側からの一方通行も正しい形ではありません。
「お医者さんが忙しそうだから」とか
「お医者さんにこんなこと聞けない」
とかは考えるべきではありません。治療の指揮をとるのは医者ですが、医者の言うことをなんでも鵜呑みにはしないでください。患者さん自身が分からないとか、納得いかないと感じることがあったら、どんどん話し合いをしていくべきです。お医者さんは優しく教えてくれるはずです。
治療はお互いがお互いの状況を理解して、対等な立場で話し合いをすることが大事だと思います。「病院にはお医者様も患者様もいない!」なんてことを誰かが言っていました。その通りです。
特に透析室では、患者さんと医療従事者が頻繁に顔を合わせ、お互いのことを詳しく知りすぎてしまうので、対等な関係というのが少し難しいこともあるかもしれません。距離感が近くなりすぎてしまったりするととくにですね。
透析スタッフと透析患者さんの人間関係は、難しいところもたくさんあると思いますが、お互い大人な対応をするべき時は大人な対応をして、一緒に治療を進めていければいいと思います。
それでは皆仲良く、素敵な透析ライフをお過ごしください。

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