透析をする上で大変なことの一つに、「拘束時間の長さ」が挙げられます。

一般的に、「透析は週に3回で、1回4時間」というイメージが強いのではないかと思います。

それではその透析時間は本当に正しいものなのでしょうか。

実際には本当に正しい透析時間なんて誰にも分からないし、医者に「これから私の透析は〇時間にしてください!」なんて言ってもそう簡単に変えてもらえるものではないのですが、この記事を読んで少しでも透析への理解が深まってくれればうれしいです。

透析時間は4時間の人が多い!

2021年に日本透析医会という学会が、透析患者さんを対象にアンケートを行い、透析患者さんの実態調査を行っています。その調査結果を引用させてもらいます。

日本透析医会 血液透析患者実態調査検討ワーキンググループ. 2021年度血液透析患者実態調査報告書. 日透医誌2022;37(別冊)より引用

表のうち、上段は人数、下段は割合(%)を表しています。

この表から、我が国では、透析患者さんの70%以上が4時間以上5時間未満の透析をしているということが分かります。

透析時間は4時間じゃ足りない??

まず、血液透析って何をしている?というところからですが、透析の大きな仕事は以下の2つです。透析はおしっこが出なくなってしまった時の代替品なので、おしっこの代わりをします。

  • 代謝物の除去
  • 水分の除去

すごくざっくり言い換えると

  • 食べたり動いたりすると体内にごみが出るので、そのごみを捨てる
  • 飲んだ水分の余った分を捨てる

生き物が活動するためには飲食が必要ですが、活動をするのに必要なエネルギーになるものと、その過程でゴミになるものが出てきます。それが代謝物と呼ばれて、そのゴミを捨てるのが腎臓(おしっこ)の役割です。しかし、腎臓が悪くなってしまった場合にそのゴミを捨てる機能が足りなくなってしまうため、透析が必要になります。

そんな透析ですが、たくさんの研究者が、透析は4時間では足りないといっています。

色々論文を読んでみると、透析時間が長い人のほうが長生きできるとか、生活満足度が高い(元気に過ごしている)とか、そんなことが書いてあります。ネットで検索すればたくさん出てくると思うので、気になる方は探してみてください。

なぜ4時間透析が多いのか

これは透析をしている方ならすぐ分かりますね!

大変だからですよね( ゚Д゚)

先ほども引用した透析患者の実態調査で、「透析医療に対する要望」という質問もありました。その結果はこちら。

日本透析医会 血液透析患者実態調査検討ワーキンググループ. 2021年度血液透析患者実態調査報告書. 日透医誌2022;37(別冊)より引用

「透析時間を短くしてほしい」が堂々3位にランクインです!

これ以上透析時間は伸ばしたくないよーという方がたくさんいます。4時間拘束されるということは、どれだけ大変かということを表していますよね。

あとは、お金の話になりますが、日本の医療では保険診療を受けた場合、その治療の金額は診療報酬というもので定められます。すべて点数で定められており、1点=10円で計算されています。

2024年の診療報酬改定では、透析を行った場合の診療報酬は以下のようになっています。

  • 透析が4時間未満の場合・・・1796点~1876点
  • 透析が4時間以上5時間未満の場合・・・1951点~2036点
  • 透析が5時間以上の場合・・・2081点~2171点

見ての通り、我が国では透析を5時間以上行った場合、病院がもらえるお金はそれ以降何時間やっても同じなのです!

※ちなみに、点数にばらつきがあるのは、透析施設の規模などによって点数が分けられているためで、ここではあまり気にしないでください。

ニュースでも取り上げられることが多くなりましたが、2024年現在の診療報酬では病院の経営が厳しく、あちこちの病院が潰れてしまったり、大幅な赤字を計上したりしています。

そのため、6時間以上の長時間透析は、病院経営にとっては大きな負担であり、医者も「好きなだけ透析してください!」「透析し放題!」なんてことはなかなか言えないのが現状です。

前述した通り、医学的には透析時間は長ければ長いほど良いということは明らかにされているのですが、現実問題としてどれだけ長い時間できるかというのは、患者さん自身の体力や環境にも左右されてきます。

適正な透析時間は?

大前提として、適正な透析時間というのは主治医が決めてくれるもので間違いありません。

ただ、現在は患者が中心の医療になっていますので、患者さん自身でも適正な透析時間を考えることは悪いことではないと思います。

前述しましたが、透析は身体から出る代謝物(ゴミ)や水を除去する治療です。

当然、その身体から出るゴミの量は、人によって全く違います。

体が大きく、よく食べ、よく運動する人はたくさんゴミがでます。

逆に体が小さく、少食であまり動かない人はあまりゴミがでません。

体の大きい元気な人

なので、体の大きい人はたくさん透析が必要ということは間違いありません。自分が元気で、透析を長時間受ける体力もあるぞ!という方はぜひ、長時間透析を考えてみてください。

体の小さい元気な人

じゃあ体の小さい人は短い透析時間で良いのかというと、そうではありません。透析時間が短いと、身体への負担は大きくなります。透析時間が長いにこしたことはないので、身体が小さくても長時間透析出来るぞ!という方は少しでも透析時間を延ばすことを考えてみてください。

あまり動けない人

透析を続けていると、歳を重ね、高齢になり、だんだん動けなくなってくる患者さんがたくさんいます。

そういう方たちは、ベッドで横になっているだけでも大変なうえ、透析中の副作用により、身体中が痛くなったり、寒くなったり、気持ち悪くなったりします。

上述した通り、あまり動けず、食べれない状態では透析で取り除くべきゴミはあまり出ません。これは著者の考えになりますが、このような状態の患者さんなら、辛いだけの透析を頑張って長い時間受けるメリットは少ないのではないかなぁと思ったりします。

そんな状態の透析患者さんが家族や親族にいたら、透析時間を少しでも短くしてみることをぜひ考えてみてください。透析が苦痛で仕方ない場合は、透析時間や透析回数を減らしてもらえないか主治医に相談してみるのは、有益なことだと思います。もちろん、医師のアドバイスもしっかり聞いて、患者さんにとって一番良い透析条件を探ることが一番大事です。

透析を短くするという話は、医者からはなかなか出ないので、周りの方が気にかけてあげてください。

自分の体力や環境と相談しながらベストな条件を

現在、日本では最も多い透析時間は「4時間透析」ということになっています。

しかし、体力や環境が許すなら、長時間透析を考えてみるのも良いでしょう。実際に、ここ数年で6時間以上透析をしている患者さんの数は大幅に増えています。ただ、施設によっては透析時間に決まりがあったり、ほかの患者さんとの兼ね合いもあったりするので、どこでも長時間透析が出来るわけではないということは理解していただければと思います。

それでもどうしても長時間透析をしたいという方は、ほかの病院を探したり、在宅透析という手も考えて、是非挑戦してみてください。

それでは楽しい透析ライフを過ごしてください。

ABOUT ME
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佐藤さん
病院に勤めて15年。 様々な患者や医師、看護師などの医療関係者と関わってきました。 透析の話を中心に、病気の話、患者の話、スタッフの話、病院内での様々な話を投稿したいと思っています。
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